引き寄せる入口 ページ40
.
太陽が沈むのが遅くなってきたこの頃、体育館に空気を通すように入口の扉は大きく開いていた。
｢こんにちは｣
｢おーA！…ってその後ろに隠れてる子は？｣
いつもは1人で挨拶をして体育館に入るが、今日は違う。先程トイレを済ませた谷地仁花ちゃんと一緒にここまで来たのだ。
道中谷地仁花ちゃんは冷や汗をダラダラと流しながら何かに怯えたように僕と距離を置きながら歩いていたが、今になって緊張してきたのか僕の背中の後ろに隠れてピクリともしない。
あれ、というか僕なんで距離置かれて歩かれてたんだろう。
｢みなさんにお話があって｣
そう言ってもう来ていた潔子さんに目配せをして
みんなを集めてもらった。
｢えっと、簡潔に言うと新しいマネージャーの谷地仁花ちゃんです！｣
くるっと身体の向きをかえて僕は後ろで小さくなっている彼女をみんなに見えるようにする。
谷地仁花ちゃんは僕の影がいきなりなくなったことにびっくりしたのか何故かシャキンと背筋を伸ばした。
｢谷地仁花ちゃん、ほら、挨拶しよう？｣
｢うっ、内蔵が…っ｣
｢谷地仁花ﾁｬﾝ？！ななな内蔵がどこか悪いの？！？！｣
彼女の突然の体調不良に僕はあわあわして取り乱して、しまいにはそれが旭さんに伝わって忠に伝わって縁下さんと蛍にため息をつかれ、潔子さんにボードで2人そろって軽く頭をはたかれた。
｢改めまして谷地仁花です！！｣
スカートがシワになるんじゃないかってくらい強く手で握って、心配いらなかったなと思うほど大きな声で自己紹介をしてくれた。
｢うん、まぁ、Aがあれだけ君の名前連呼してたらいやでも覚えるよね｣
蛍は僕をじとっと見てからまたため息をついた。
あー、幸せ逃げるよ。
｢Aと清水が勧誘してくれたのか？｣
大地さんが嬉しそうに僕らに聞いた。
｢私はAくんがやろうって言ったのに乗っかっただけだよ｣
｢何言ってるんですか！潔子さんめちゃくちゃ手伝ってくれましたよ！｣
そうかそうか、と大地さんが数回頷いたあと、
じゃあ改めて俺らも挨拶するぞ！
と大地さんの声に続いて体育館中にオネシャス！！と野太い声が響いた。
｢ひっ、ひぇっ｣
｢あーっと谷地仁花ちゃんはまだ仮入部って形なので正式に入ったわけじゃないんです。今日は一応ご報告をと思って…｣
｢そうなのか。是非入ってくれると助かるな｣
大地さんの一言で彼女の自己紹介は終わった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 540人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
@ペロキャン(プロフ) - 涼さん» ありがとうございます！！色々絡ませながら均等な感じにみんなに恋愛要素入れていければいいなと思ってます！ (2018年8月19日 23時) (
レス) id: a5d1a3a765 (このIDを非表示/違反報告)
涼 - とても面白いです!!!夢主君と、谷っちゃんとの絡みがめっちゃ可愛い､､恋愛フラグありですか!?更新頑張ってください! (2018年8月18日 17時) (レス) id: d379028483 (このIDを非表示/違反報告)
@ペロキャン(プロフ) - のあさん» ありがとうございます( ; _ ; )めちゃくちゃに嬉しいです！頑張って更新しますね！ (2018年8月16日 17時) (レス) id: a5d1a3a765 (このIDを非表示/違反報告)
のあ(プロフ) - めっちゃ面白い！続きが楽しみです！ (2018年8月16日 17時) (レス) id: 048debb475 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
