第104話 ページ9
旅に出ていたというには状況に詳しすぎるAに、疑念の空気が流れるのは当たり前だった。
中沢「前職で知っちまってただけの話だ」
近藤「あ」
近藤から鍵をくすねて牢屋の扉へと近づく。
中沢「それで、城にまで入ってきた目的はなんだ?」
銀時「…それはなんだ、警察としての質問か?探偵としての質問か」
中沢「大した問題じゃないな、それは。私に素直に話せば、出してやらんこともない。問題はお前が私に何を話し、何を隠すかだ」
分かりやすく鍵を見せつけ、獄中の人間を順番に見る。
何を勝手に、と一人ぐらい騒ぐかと思いきや、近藤も土方も静かにそれを見守っていた。
銀時「はぁ…」
結局何を探ろうと銀時にはAの考えていることは読み切れないようだった。
銀時の口から語られる愛の悲劇。
往生際に立っても尚、若かりし頃の夜を忘れられない鈴蘭の姿に、銀時はいてもたってもいられない気持ちだったわけだ。
中沢「なるほど、お前らが会いたいのはその世話係の爺さんだと」
銀時「ああ」
中沢「よし」
定定をどうこうしようという気はないらしい。
彼らの意思は揺るがないらしいし、むしろ城内で暴れ混乱を招いてくれた方が好都合だ。
古びた鉄格子を開き、中にいた銀時たちを解放した。
中沢「間違っても茂茂様に手あげるなよ、ブタは好きにしてくれて構わんが」
最後に出た銀時に目を向ける。
中沢「何なら首取ってきてくれてもいいぞ」
銀時「さぁな、俺たちは爺さん奪還が目的だ。ま、間違って飛んでっちまうかもしれねぇが」
月詠「おぬしは…」
中沢「銀時の知り合いだ。あのバカよろしく頼んだよ」
気がかりな様子で立ち止まった月詠を行くよう促し、走り去る背中を見送った。
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RIO - 小説読ませてもらっています!更新待ってます!! (2022年4月15日 0時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
無関 - まじで面白かったです!頑張って下さい!! (2021年11月18日 21時) (レス) @page8 id: dbba37e842 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗月 | 作成日時:2021年11月11日 17時