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第109話 ページ14

定定「おぉ、ようやく来たか天が遣いよ」


微かに朝日の射し込む牢獄。そこに似合わぬ綺麗な着物を着た老人が一人、その光を与えた2人を見上げた。

御徒衆の格好をした高杉とAの姿を見て、定定はニヤリと卑しい笑みを浮かべる。

その顔を見て渦巻いていた感情もどこへやら、いつかに感じた憎悪がAの心に充満した。

憎たらしく響く挑発の声。Aは牢の鍵を開け、錫杖から刀を抜いた。


定定「え」


大きな腹に刃を突き立て、痛みに尻餅をついた定定を見下ろす。


定定「き、貴様っ…真選組の、」


中沢「へぇ、よく覚えてたな」


刀についた血を振り払い、邪魔な笠を取ってしまった。


中沢「ごまんと見てきた庶女の顔、どれも一緒に見えてるかと思ってたよ」


同じく笠を取った高杉の顔を見て、定定はまた慄く。


定定「貴様ら…何故、何故手を組んで、」


高杉「何故?てめぇまだ分かんねぇか」


定定「ぐぁっ…」


Aは右足を斬りつけ、痛みに悶える定定を壁に押し付けた。


中沢「吉田松陽の名…忘れたとは言わせない」


「な、なんの話だ!わ、分かった、話を聞こう、だから…」


定定の言動を見る限り、名どころか行いすら覚えていないようだった。Aは静かに刀を構え直した。


中沢「徳川茂茂という存在に感謝しろ…さるお方がいなければ肉塊にしてやったものを」


定定「ひっ…」


左足を斬りつけ、右肩に刀を突き立てる。


高杉「てめぇの趣味はよく分からねえなぁ」


さらに左肩を貫いて、Aは定定に背を向けた。

代わって刀を構える高杉に、もはや上がらぬ手を震わせる定定。


「ま、待て!」


高杉「先生に、よろしくな」


壁に飛び散った血飛沫。薄暗い牢屋の中で、定定は再び独り、頭を項垂れた。

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設定タグ:銀魂 , 真選組 , 攘夷志士   
作品ジャンル:アニメ
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RIO - 小説読ませてもらっています!更新待ってます!! (2022年4月15日 0時) (レス) @page11 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
無関 - まじで面白かったです!頑張って下さい!! (2021年11月18日 21時) (レス) @page8 id: dbba37e842 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:紗月 | 作成日時:2021年11月11日 17時

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