FULL MOON 5 (ページ8)

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番組収録　ページ8

☆シウside

「今日のゲストは、俳優の吉沢亮さんと山崎賢人さんとFULL MOON！」

司会の人がそう言う。
パチパチと拍手される。
俺等が主題歌を担当した映画の宣伝の収録に来ていた。
吉沢氏と山崎氏があらかた、色んな話をしたあと、

「FULL MOONは、韓国のバンドだよね？え〜と、でも、Aちゃんは、日本人だよね？やっぱり、イジメとかあった？」

ニヤニヤと笑う司会者の人は、俺等が日本語が出来ないって思ってるのかも知れない。
俺達に通訳はいらないから、通訳の代わりにマネさんに居てもらっていた。
通訳役がいないと見た目？良くないらしい。
彼は人差し指を立てて、"通訳しなくていいよ"って、マネさんに言ってるのも、聞こえてるし、わかるんだけどな。

「収録、止めて。」

視線を鋭くした山崎氏がそう言い、無表情の吉沢氏がAの頭にポンと手を置いた。
ざわざわとするスタジオ。

「鈴木さんさ、この番組のメインスポンサー知ってる？」

山崎氏がそう司会者の人に聞いている。
司会者のスズキ氏は首を傾げた。

「誰に頼まれたのか、知らないけどね。ソレ、アウト。」

山崎氏の言葉にスタッフが首を傾げていると、

「あ、おじさん。来てたの？」

Aが椅子から立ち上がる。

「Aに会いたくてね。ウチにメンバー連れて、ご飯食べにおいで。」

高そうなスーツを着た男性がスタジオに入ってきた。
その男性を見たスズキ氏はガクガクと震えだした。

「この番組のメインスポンサーは、高月グループだよ。で、Aのフルネームは高月A。おわかり？」

山崎氏の呟きに"プロデューサー呼んで来い"だとか、スタッフは慌ただしくなった。

「見ていて不愉快だ。別の司会者を立てなさい。」

Aと話していた時の柔和な表情を一切消し去り、高月氏は、言った。
バタバタと慌ただしく走り回るスタッフ。

「亮くん、おじさん、激おこぷんぷん丸だね。」

ふふ、と笑っていうAに、吉沢氏も笑う。

「だってさ、Aに嫌な質問投げかける司会者なんて、無能以外の何者でもないじゃん。」

吉沢氏はそう言った。
あ、吉沢氏は笑うじゃなくて、嗤うだ。

「暫く、収録はストップだね〜。準備できるまで控室でお菓子でも食べてようか？」

山崎氏は、優しげにAに笑いかけ言うと、立ち上がった。

「ほら、FULL MOONの皆も。時間がかかるだろうから戻ろう。」

山崎氏に促されて、俺達は収録スタジオを出た。

…