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万里side


「自分の気持ちって言われてもわかんない!」


下手くそな笑顔を、痛々しい笑顔を崩し、顔をぐしゃぐしゃにしてボロボロと涙を流す遊馬。

「うん」

「だって!兄ちゃんがいなくなってから心配してくれる奴なんていなかったし!迷惑かけちゃ駄目だから泣かないで、ずっと笑ってたのに!」

「うん」

必死に自分の言葉をたどたどしく伝えようとする遊馬のことを引き寄せて抱きしめて、ただ眉を下げて笑って頷いてやる。

「それも駄目って言われたらどうしたらいいかわかんない!」

「うん」

周りを見ると他の奴らも遊馬の言葉を聞いて、いつもと違う遊馬の様子に戸惑っていたり、涙を流したり。

「ここにいるとあったかくて、ひとりぼっちじゃなくなったみたいに錯覚しそうで、曲を作り終わってみんなに持って行って喜んでくれて、それが嬉しくて、」

今まで溜め込んでいた想いを吐き出すように言葉を紡いでいく。

「でも、また兄ちゃんのときみたいにいなくなったらって!みんな俺の前から離れたらって思ったら怖くて、怖くて、どうしようもなくなって」

___だから、逃げた

間を置いて遊馬はそういうと嗚咽をこぼして泣いた。


遊馬が劇団に入る前、俺に遊馬の家族の話や俺と出会うまでの話をしてくれたことがあった。

___俺はきっとずっとひとりぼっちだ。

遊馬は話終えたあと苦しそうに笑った。涙は流さなかったがその小さい背中は泣いているように見えた。

ずっと遊馬はひとりきりで兄の死を背負ってきた。

俺は遊馬に何も声をかけてやることは出来なかった。

そうか、ただ一言そう言って黙り込んでしまった。

きっと俺はその時ひとりきりでないことを教えてやらなければいけなかったのに何も言えなくなってしまった。

ずっと、ずっと我慢してきた遊馬をその時に救ってやらなくてはいけなかったのだ。

遊馬がいなくなって後悔は死ぬほどした。

遊馬が劇団に入ってあの苦しい笑みを、痛々しい笑顔を見ることが減って油断したのだ。

俺のせいだ。
遊馬のことを分かっているつもりで、何もわかっていなかった。

今だって、俺は遊馬を抱きしめてやることしかできなくて。この小さい背中は傷つけられてもうボロボロだ。


もうひとりぼっちじゃねぇよ。俺たちがいるだろ?気がつけよ。お前は孤独なんかじゃないしひとりぼっちでもない。


なあ遊馬。気がついてくれよ___

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なー(プロフ) - ありがとうございます!最近更新してなくて申し訳ないのですがこれからもよろしくお願いします! (2018年2月13日 22時) (レス) id: ef428c138d (このIDを非表示/違反報告)
向日葵(プロフ) - 何時も読んでいます。あんスタもA3!も好きなので凄く嬉しいです!これからも頑張って下さい! (2018年2月13日 17時) (レス) id: 7e7cac11ec (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - 冠さん» コメントありがとうございます!そんな風に言っていただき感激です!ご感想ありがとうございます。これからもよろしくお願いします! (2018年1月22日 21時) (レス) id: ef428c138d (このIDを非表示/違反報告)
- いつも楽しく読ませてもらっています!part2に入ってから、感動して涙が止まりません。自分の中でこの作品は名作と勝手ながら思っています!これからも頑張ってください! (2018年1月22日 21時) (レス) id: 12fca75d2a (このIDを非表示/違反報告)
なー(プロフ) - オタクさん» コメントありがとうございます!続きも楽しんでいただけると幸いです!これからもよろしくお願いします! (2018年1月22日 17時) (レス) id: ef428c138d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なー | 作成日時:2018年1月15日 1時

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