可愛い幼馴染 −side N− ページ19
リ「ねぇ……、さっきの人、誰……？」
Aが帰った後、ソファに座っていたオレの上を跨るように座ったリナが問い掛ける。
「んー……(笑) この前撮影で一緒だったスタッフさん？(笑)」
誤魔化すように、そう答えた。
リ「嘘っ……！ 何でただのスタッフさんがあんなもの持って家まで来るの？！」
リナが指差したのは、ダイニングテーブルに無造作に置いたベルト。
間違いなく、オレとAの関係を探ろうとしている。
リ「アノ人………、ニノの何………？」
さっきまでは怒った表情を見せてた筈なのに、今度は涙を浮かべる。
女の子は忙しいな……、なんて、リナの顔を見ながら考えてた。
「何って………？」
リ「あたしとニノみたいな関係なの……？」
「んー……、こういう“お付き合い”じゃないけど……」
リ「けど…………？」
「オレにとって、世界で一番大切な宝物……かな？(笑)」
オレの言葉に、時間が止まったように固まってしまったリナ。
そして次の瞬間には、左頬に大きな衝撃が走る。
リ「意味わかんないっ！！ ニノのバカっ！！」
「痛ぇ………。バカって………。オレ達別に、付き合ってないじゃん……」
そう、そこなんだよ。
付き合ってないのに彼女ヅラされてもね。
そこをちゃんと理解してくれてる良い距離感だと思ってたのに。
リ「あたしのこと………、好きでいてくれてたんじゃなかったの………？」
ぽろぽろと流れ落ちる、リナの涙。
「好きだよ……？ でもオレ、彼女は作る気ないから………」
きっと男としては、すげぇ最低なことしてて。
でもオレは、女の子にはそんな接し方しか出来ないんだよ。
というより、したくない。
リ「そんなんじゃ……、一生幸せになんてなれないよっ…………」
リナは泣きながら、部屋を飛び出して行った。
静まり返った部屋の中で想い出されるのは、15年前に見たAの涙。
『離れてかないで………』
そう言ったAの涙を見た時、“ずっと傍に居る”って決めたのに。
Aの涙を拭ってやれるのはオレしかいないって。
そう思ってたのに。
簡単に離してしまった手。
そんなオレに、誰かと幸せになる権利なんてないんだ。
自分の掌を見つめながら、不意に溜息を吐いた。
どうやったって、15年前には戻れない。
でも今、Aと再会して、間違いなく動揺しているオレがいた。
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作者名：凛
| 作成日時：2013年10月31日 2時
