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裕翔side
裕翔「思い出すことはありますよね?」
医者「心が記憶を閉ざしている状態です。
何か拍子に思い出す人もいれば、
少しずつ思い出していく人、
あるいはずっと....」
伊野尾「....何か効果的な方法とか無いんですか?」
医者「なんとも言えないですが、
とにかくリラックスできるような
環境を整えてあげることが1番効果的だと思います。」
裕翔「分かりました。」
医者「それでは、何かありましたら
ナースステーションへお声がけ下さい。」
もしもこのままあやかの記憶が
戻らなかったら___
そう考えると怖くなった。
裕翔「伊野ちゃん...」
伊野尾「ん?」
裕翔「大丈夫___だよね...」
伊野尾「きっと大丈夫だよ。
ほら!あやかも不安なんだからそんな顔しないの。」
そう言って伊野ちゃんは
俺の頬をつまんで引っ張った。
そして何度も大丈夫。大丈夫。と
俺に伝えた。
裕翔「ありがとう___
伊野ちゃんもお兄ちゃんみたいな所
あるんだね(笑)」
伊野尾「俺一応年上だからね?(笑)」
いつも割と適当で
にこにこしている伊野ちゃんとは
変わってしっかりしたお兄ちゃんに感じた。
それから病室に戻ると、
あやかが自分のスマホを操作していた。
伊野尾「あやか!何見てるの〜??」
あやか「これ...」
あやかが俺たちの方に向けたスマホには
先日訪れたディズニーの写真。
伊野尾「お!そうそう。この前行ってきた写真。」
裕翔「沢山写真撮ってあるね。」
あやか「私...あなた達とお友達...?」
裕翔「そうだよ!それに...家族!」
あやか「家族...?」
伊野尾「そう。みんなでシェアハウスして
一緒に住んでるんだ。」
家族と聞いてあやかの顔が
少し明るくなる。
きっと記憶がないって
俺が思ってる以上に不安で怖いものなんだろう。
だから少しでも不安を
払拭できるようにしたい。
あやか「あの...」
伊野尾「あ...俺は伊野尾慧。
前は慧くんって呼んでくれてたから
またそう呼んで欲しいな。」
裕翔「俺は中島裕翔。裕翔くんって呼んでね。」
あやか「慧くん...裕翔くん...」
あやかが恐る恐る名前を呼んでくれた。
伊野尾「なんでしょうか。」
裕翔「は〜い」
あやか「フフフッ」
.
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作者名:chikuwafam | 作成日時:2020年5月30日 23時