小さな運命が世界を変える【ハリポタ】 (ページ28)

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やさしさページ28

温室のほうに教材に使う薬草をとりに行こうと

湖の近くを歩くスネイプ。

彼の羽織っている長いローブの裾が雪まみれになっている

学生時代に彼が良くお世話になった湖。

ここの畔で本を読むと、誰にも邪魔をされなくて集中できたのだ。

そんなことを思い出しながらちらりと湖に視線をやると

真っ白な雪の中に、黒い塊が見えた

こんな中何をしているのかとその塊に近づく

と、その正体はひどく見覚えのある人物だった。

　「A…！！」

よく見るとそれは横になっていて

何かあったのかと、スネイプは急いで近づく

　「A！どうし…」

　『ふぁっ…』

Aの上半身を抱えると、Aはあくびをしながら起き上がった

　『先生、どうされたんですか？』

　「どうされたじゃあないだろう！こんな寒いなか…どうして眠っていた！何かあったのかと心配するだろう！」

ものすごい剣幕で怒るスネイプに、Aは驚いた

今にも泣きそうな表情でスネイプを見上げる

　『す、すみません…本を読んでたら、眠たくなってしまって…』

　「まったく…以後、気を付けろ」

すぐにいつもの調子に戻ったスネイプ

その態度の差に、Aはついていけなかった

　「談話室に戻ってゆっくり体を温めろ、本はそこでも読めるだろう」

　『でも、談話室だと友達が…落ち着いて読めないんです』

落ち着いて本を読むために、同じところで読書をしていた彼女。

そのちょっとした共通点に、スネイプは少しうれしくなった

　「だとしても、だ。自分の体を大事にしろ」

　『はい…』

Aは体に着いた雪をパタパタと払い、立ち上がる。

そしてスネイプの目を見て、ニコリと笑う

　『ご心配おかけしてすみませんでした。ありがとうございます』

　「あぁ、気にするな」

“またお部屋にお邪魔してもいいですか”

Aは、そう聞こうとして口を閉じた

もしその言葉を言ったら

Aのワガママをきくために、彼はただでさえ忙しいのにもっとスケジュールを詰める気がしたからだ

Aはいつでも会うことができるが、彼は違う

自ら出してるとはいえ、山のようなレポートの採点に、1～7年生の授業の準備。

スネイプは忙しいということは、この前私室に入った時になんとなく察したのだ

スネイプと別れたAは

意地悪なように見えて実は優しく、他人想いなスネイプのことを思い出し

小さく笑みをこぼした