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episode:27 ページ34

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…そうだった
エマはお母さんに急に佐野家に連れて来られて1人置いていかれたんだった

記憶の中のエマはいつだって笑顔で、私と出会った時も寂しさなんて微塵も感じさせないぐらい明るい人だったから忘れていた



…突然母親に置いてかれたんだ
頭では色々と理解していても、心が追いつかないに決まってる



本当はずっとこうして泣きたかったのを我慢してたんだね




ギュッ
「‼︎」

私はそっとエマを抱きしめた


エマは少し驚いたものの、やがてゆっくり私に腕を回すとタカが外れたように泣いた


安っぽい言葉は掛けたくなくて、私はただ黙ってエマを抱きしめて時折背中をポンポンとするだけだった



男2人が黙って私たちを見守る中、どれぐらいの時間が経っただろうか

やがて私たちが家に帰らないといけない時間になった



「A、そろそろ家に帰ろう
オフクロが心配する」


そう、圭介が私に声を掛けた



『…そうだね

エマ、また来るね?
今度はたくさん一緒に遊ぼう?』



できるだけエマに優しく声を掛けながら私は体を離した


「……」


エマは黙って俯いたままだったが、私の道着の袖をギュッと掴んで離さなかった


その姿が“帰らないで、置いていかないで”と訴えていて


エマがどれだけ我慢して耐えていたのか、改めて考えさせられた



『…決めたっ!
私、毎日エマに会いにくるよ!
エマが寂しいなんて思わなくなるまで、毎日一緒にいる‼︎』



私の言葉に驚いたのかエマはゆっくりと顔を上げて


「ほんとに?」


と小さく尋ねた


『うん!約束‼︎』


そう言って私は小指を差しだした

それを見てエマもそっと小指を絡めてきた



『ゆーびきーりげーんまーん………


………ゆーびきった!』


指が離れた後、エマは自分の小指をジッと見つめていた


『ふふ!

じゃあまた明日、遊びに来るからね?』



エマはコクコクと頷いて

「Aのこと、家の前で待ってる」


と小さく呟いた


『じゃあ、早く来るね!』


そんな会話をして私たちは家に帰った




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(プロフ) - はなさん» コメントありがとうございます‼︎私自身もまだボンヤリとしか考えておらず、この先が気になっている1人です(笑)ゆっくりではありますが更新頑張ります(о´∀`о) (2022年1月4日 9時) (レス) id: f655379a06 (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - 夢主がマイキーや稀咲、イザナとこの先どうなっていくか、続きが凄く気になります!!更新楽しみにしています(*^^*) (2021年12月31日 10時) (レス) id: 0c03d7cf6f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2021年11月11日 16時

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