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「帰る？」
『うん、帰る』
「1人？」
『…うん』
こんな時間に1人で帰るのはかなり久しぶりで、内心少し不安になっていれば
「…送る」
『え？』
「俺が起きないから待っててくれたんでしょ」
『…まぁ、うん』
「不審者がいたら危ないし」
『え、けど申し訳ないよ』
「けどもしAさんが誘拐とかされたら困る」
『うーん…』
送ってもらえるのはとてもありがたいけれど、そこまでの仲でもないから申し訳なくもある。
答えあぐねていれば再び凪くんが口を開いた。
「いつもAさんが話してる人たちも心配してたじゃん」
『え？』
「名前は覚えてないけど、すごい心配してなかった？Aさんが1人で帰るの」
そう言われて、香奈と美咲が私を心配していたのを見ていたのかと気づく。
『そうだけど…』
「でしょ。ほら、いいから行くよ」
そう言うと凪くんは始業式の日のように私の制服の裾を引いて玄関へと向かった。
「電車？」
『ううん、今日は自転車』
「なら俺も乗せて…って言いたいところだけど無理か」
『あはは、それで運転は出来ないかも』
「じゃあ俺が運転してもいい？」
それに私が答える前に凪くんは自転車に跨る。
私でちょうどいいサイズの自転車は190cmの彼にはかなり不似合いだった。
『ふふ、自転車が小さく見える』
「いや、実際に小さいよこの自転車。小型チャリ？」
『違うよ、普通のサイズ』
「ふーん」
凪くんはどうでもよさそうに返事をしながら自転車の後ろをポンポンと叩いて私に座るよう促す。
自分の自転車だけど失礼します、と声をかけて後ろに乗り込んだ。
『重くない？大丈夫？』
「え、もしかして俺もやしか何かだと思われてる？」
『そういう訳じゃないけど』
「てか掴まんなくて大丈夫？落っこちない？」
『ごめん、ちょっとだけ掴まってもいい？』
「ん」
今まであまり二人乗りをした事がなかったからか、後ろに乗るのは思ったよりも不安定で怖かった。
凪くんに断りを入れてから制服の裾をシワにならないように握れば、自転車は進み始めた。
『ごめんね、家まで送ってもらっちゃって。ありがとうございました』
「どういたしましてでした」
『ここからの帰り道分かる？』
「大丈夫、結構家から近い。じゃあね」
『ありがとう凪くん、また明日ね』
そう言って手を振れば凪くんは片手を上げてヒラヒラさせながら来た道を戻って行った。
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chiito(プロフ) - Saeさん» Saeさん、はじめまして！そんな風に言っていただけるなんてすごく嬉しいです…！！こちらこそ本当にありがとうございます(;o;)♡ (6月4日 23時) (
レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
Sae - これ神作ですね…!!いつも癒やされてます!!本当にありがとうございます〜♡ (6月4日 22時) (レス) @page34 id: ce5901011e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chiito | 作成日時：2023年4月5日 15時
