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- S.N side -
浴衣で着飾った彼女は、簡単に見つけられた。
だってあまりにも綺麗で、いい意味で浮いていたから。
むしろ彼女しか目に入らなかったくらいだった。
そんな彼女が俺の隣を歩いているだけで幸せで。
「腹痛と頭痛じゃ仕方ないね。ほら、行こ」
『う、うん。そうだね…』
一瞬黙り込んだ彼女を見て、いきなり2人きりはマズかったかと今さら少し後悔する。
けれどせっかくのチャンス、もう後には退けない。
「…Aさん目離せないから、手」
『え、あ、うん』
そう言って手を差し出せば、頬を赤く染めながらぎゅっと俺の手を握り返してくれる。
その小さくて薄い手に、思わず庇護欲が湧いた。
「すごい人だね」
『ね。凪くんくらい大きかったらいつでも新鮮な空気吸えそう』
「高い高いしようか？」
『あはは、結構です』
「けどAさん、ちっこいから本当に潰されそう。こっちおいで」
『あ…うん、ありがとう』
満員電車でクスクスと笑う彼女は本当に小さくて華奢で、このまま押し潰されれば簡単に死んでしまいそうで。
壁側に作ったスペースに引き寄せれば、彼女は俯いた。
表情は見えないけど、真っ赤になった耳がそれは拒絶ではないことを教えてくれる。
今日はもうずっとこのままでもいいかも、なんて心のどこかで思ってしまった。
「屋台いっぱいあるね」
『ね、すごいね！』
会場に到着すれば、ごった返す人混みに内心げんなりする。
けれど隣で目をキラキラさせる彼女を見れば、今日はとことん付き合おうなんて思考は簡単に切り替わった。
「何食べたい？」
『いちご飴は絶対食べたい…！』
「甘いのだけ？」
『んー、凪くんは何食べたい？』
「焼きそば」
『あ、いいね』
「じゃあ分けっこする？」
『うん、する！』
そう言って嬉しそうな彼女を見れば、まだ何もしていないのに今日は来てよかったなんて思ってしまう。
「人やばいね、酔いそう」
『もうすぐ花火も始まるみたいだし、どこかに座ろっか』
「んー、そうしよ」
2人でいい場所はないかと探しつつ、いつ告白しようなんて頭の片隅でずっと考える。
「ここ良さそう」
『本当だ、ここなら花火も見えそうだね』
「焼きそば食べよ、お腹空いた」
『ね、食欲そそられるにおい』
いただきます、と丁寧に手を合わせた彼女が焼きそばを頬張れば、やっぱり小動物みたいで可愛らしい。
俺はそのまま彼女を眺め続けていた。
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chiito(プロフ) - Saeさん» Saeさん、はじめまして！そんな風に言っていただけるなんてすごく嬉しいです…！！こちらこそ本当にありがとうございます(;o;)♡ (6月4日 23時) (
レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
Sae - これ神作ですね…!!いつも癒やされてます!!本当にありがとうございます〜♡ (6月4日 22時) (レス) @page34 id: ce5901011e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：chiito | 作成日時：2023年4月5日 15時
