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変わり映えのない毎日が ページ18

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『凪くんってさ、実は根が真面目だよね』
「んえ?」
『凪くんの口癖って"めんどくさい"じゃない?』
「…それ俺の真似してるつもり?」
『ふふ、結構自信あったんだけど。似てなかった?』
「…ちょっとだけね」
『あはは、やった』


図書室に向かいながらそんな話をする。
いつも無表情な彼だけど、案外冗談も通じるタイプというのは慣れるにつれて分かってきた。


「それで、どういう意味?」
『え、何が?』
「根が真面目って」
『あぁ。凪くん、ちょっとした会話をちゃんと覚えてくれてたりするでしょ?』
「そうだっけ」
『そうだよ。それをちゃんと律儀に守ってくれる』
「…そう?」
『うん。面倒くさいなら、忘れたフリすればいいのに』
「まぁ、たしかに」


納得しているような、していないような。
そんな微妙な表情でこちらを見つめてくるから話を続けてみる。


『当番だって、忘れたフリして帰った方が楽できるでしょ?』
「…けど、それしたらAさんが大変でしょ」
『うん、そうなの。だから凪くんは優しくて真面目なんだなぁと思って』
「…そんなの、初めて言われた」
『そうなの?』
「うん」


興味があるような、ないような。
凪くんはあまり表情を崩さないから彼がどう思っているのかは分かりにくい。
けれど私は凪くんの良いところを見つけられたことが何故だか無性に嬉しかった。


『じゃあ私が一番最初に見つけた凪くんの長所の一つだね』
「…Aさんって変わってんね」
『え、そう!?初めて言われた』


そう言って笑えば彼は何故か少し目を見開いた後、すぐに視線を逸らした。


「これって仕事終わったら帰ってもいいやつ?」
『残念ながら閉館の18時が定時です』
「うげぇ、長すぎない?」
『けど仕事が終れば何しててもいいらしいから』
「例えば?」
『課題とか、予習復習とか』
「ゲームは?」
『うーん、自己責任かな』
「オーケー」


それだけ言い残すと彼は昼休みと同様、本の山を持って図書室の奥へと消えて行った。


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chiito(プロフ) - Saeさん» Saeさん、はじめまして!そんな風に言っていただけるなんてすごく嬉しいです…!!こちらこそ本当にありがとうございます(;o;)♡ (6月4日 23時) (レス) id: db14ec3e34 (このIDを非表示/違反報告)
Sae - これ神作ですね…!!いつも癒やされてます!!本当にありがとうございます〜♡ (6月4日 22時) (レス) @page34 id: ce5901011e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:chiito | 作成日時:2023年4月5日 15時

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