伝えたい言葉 ページ33
千冬「(伝えたかったこと…か)」
ユウちゃんは目を閉じて手を合わせている。
彼女は何を伝えたかったのかな?
貴方「お兄ちゃん……」
千冬「何?」
貴方「伝えたいことって、声に出して大丈夫かな?」
千冬「大丈夫だと思うけど……」
それほど伝えたいことがあったんだ。
貴方「場地くん、最後まで守ってくれてありがとう…場地くんは私が失礼なことをいっても一切怒らなかったからどこかでそれを楽しんでたんだ」
小さく微笑みながら語り始めた彼女。
貴方「覚えてるかな、場地くんが最初に言い出したんだよ『不良の世界を教える』って」
初めて知る彼女と場地さんの思い出。
貴方「芭流覇羅に入るために私とお兄ちゃんを踏み絵にしてたけど…どこか躊躇いが見えて私はそこで気づいたんだ、何かを考えてるって」
切ないトーンだけど、どこか暖かくて
貴方「あの時本当は別に伝えたい言葉があったんだよ」
彼女は涙をこらえて彼に語り続ける。
貴方「本当はね…創設メンバーの中で場地くんのこと一番好きだったよ、嘘に聞こえるかもだけど…本当なんだよ」
ユウちゃんの秘めてた思いを俺は静かに聞き続けた。
貴方「最初は怖かったけど、話していくうちに優しいことを知って私のことを一番最初に守ってくれて、何度も『大丈夫』って助けてくれて」
そこまで言葉を紡ぐと彼女は涙を流しながら頑張って言葉を紡ぎ続けた。
貴方「場地くんは……面倒そう、にしながらも…私のことを、ずっと見、ててくれた、一番に心…配してくれた…本当の……ヒーローみたいに」
彼女は泣きじゃくりながらも最後まで言葉を出した。
貴方「場地くん、たくさんの…思い出と、勇気、優しさを…ありがとう」
千冬「(ユウちゃんが紡いだ言葉は切ないけど暖かくて…どこか楽しそうで、また泣きそうで…そして、キラキラしていた)」
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