千年の冬のような恋 2【松野千冬】 (ページ31)

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心に空いた穴ページ31

抗争が終わってからAはずっと眠っている。

疲労しているわけではなくそれで寂しさを紛らわせている。

ドラケン「A……起きろ」

今日はどうしてもコイツを連れていきたい場所がある。

あの抗争を思い出して泣き出す可能性もあるが連れていくことで心に変化を持たせようと考えた。

貴方「ん?……ｸﾞｽﾞｯ」

ドラケン「起きてすぐ泣くなよ、これから出掛けるぞ」

貴方「……待ってる」

ドラケン「着いてこい」

貴方「……ここにいる」

ドラケン「こい」

貴方「……無理」

前にもこんな押し問答をやっていたな。

しかも、今回は立場が逆だ。

外に連れていこうと誘う俺とここに残りたいと意地でも動こうとしないA。

ドラケン「いつまでそうしてるんだ?」

コイツにとって場地は特別な存在だった。

三ツ谷がいないときに決まって場地を頼るようにしていたAからすれば心の支えでもあったんだろう。

貴方「……ｸﾞｽﾞｯ、行きたくない」

そう言ってAはまた泣きじゃくった。

こうなるともう連れ出すのは無理そうだ。

ドラケン「千冬のとこ、行くか?」

コイツを泣き止ませるには頼れるのはアイツだけだ。

貴方「…お兄ちゃんのとこ?」

ドラケン「用事がすむまでだが…預けて行く」

貴方「……行く」

千冬のことになればAも少しは言うことを聞くのを最近になって知った。

これで少しは心に空いた穴を埋めれたらそれで良いんだけどな。