ショートストーリー 〜水溜りにうつる空〜

先生 (トミー) 1 ページ5

「はい、今日の授業はここまで
風邪引くなよ〜」

チョークのついた手をパンパンと軽く払い
雑に挨拶をするのは、富永先生

「あの！先生、ここ、よくわからなかったんで
教えてもらってもいいですか？」

「あぁ、いいよ、Aは
熱心だよな、俺の学生時代とは
大違いだわ」

そう言って微笑み、私の頭をポンポンと撫でる


そういうことするから誤解するんだよ先生…


と思いつつ、何でもないようなふりをして

「じゃあまた…放課後で、いいですか？」

と聞くと、いつもみたいに

「いいよ、いつでも」

とヒラヒラと手を振って去っていく先生の背中を
私はいつまでも見守っていた

あっという間に放課後になり
帰る準備をして急いで先生の所へ向かう

職員室だと狭いからって
使わなくなった古い教室を先生が開けてくれて
いつも勉強してる。

旧校舎にある教室だから、私の教室から少し距離があって、急がなくてもいいって分かってても
早く会いたくて走ってしまう。

教室の前に行くと、明かりが窓から漏れていた

先生、もう開けてくれたんだ。

「お待たせしました〜！」

そう言って教室のドアを勢いよく開けると
見知らぬ女子が座っていて
その女子に勉強を教える富永先生がいた

先生 (トミー) 2→←風邪 (カンタ) 2

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す