登坂さん家（ち）

身を焦がす　〜広臣〜 ページ48

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「失恋した時に聞きたくなる曲か…
失恋ね…失恋…」





Aちゃん
今日はそのソファに寝たきりだったな



俺は、その横向いて寝てるA背にソファに寄っかかって床にぶっ座り、茶飲みながらテレビ見てるけど



頭の後ろからぶつぶつと聞こえてくる





「失恋？」





それ俺に聞いてる？





「おぉ失恋」


「失恋か…」





何を考えてるやら後ろ向きゃ
テレビから流れる失恋した時に聞きたくなる曲をバックに口半開きで…どこ見てる？



そんな悩んだって
今まで付き合ったの2人しかいないだろ



失恋なんか和樹だけのくせに



その前は



幼稚園で初恋の大ちゃんだっけ？
若干4歳だか5歳で、結婚しようねって言われて、ファーストキスまで奪われた



その大ちゃんを中学までずーっと好きだったって、まあ一途だこと





そう考えると、Aの恋愛人数は少ない



けど俺とがいろいろとありすぎだから
それなりにそれなりだとは思うけど



結局 俺もなんだけど
Aよかね








ってかさ





「失恋って和樹のことなんか考えてんな
ばーか」


「違うって
あの時の広臣のこと考えてたの
私の失恋って広臣に失恋したわけじゃないけど、広臣が思い浮かんじゃうんだもん

そりゃ好きな人ができたって言われてショックはショックだったよ。
でもその人がいなくなって悲しくて悲しくて…とかならなかったし、涙も出てこなかったし

失恋したのはしたけど、広臣がいてくれたから

今思うと、あの時はすでに広臣が好きだったのかも」


「ふーん。そっか」


「うん

そーいえばさ
何回も聞いてるけどさ
ほんとにあの時何もしなかった？
ほんとに腕枕したの無意識？
ほんとはちょーっとイタズラしちゃったんじゃないの？」





それっておまえが和樹に振られた次の日のことな



ほんとそれ聞いてくるの何回目？





「だからほんとだって
いい加減しつこい」


「そっか…」





しつこいって言われると黙るのは分かってる





ほんとは寝てるAにキスしたよ
起きないから何回も



でもキスだけで我慢したんだから
俺って偉いだろ








「あーあ。なんかさ
身を焦がすような大失恋してみたかったな」


「なんだそれ」





たまにわけわからんこと言いだすから
失恋なんかしない方がいいに決まってんのに



そんなんしないでも
俺との大恋愛で身を焦がす思いしてきたろ



贅沢言うな

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