さしもしらじな もゆるおもひを ページ33
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千早「え？肉まんくんなんで？！」
奏「どうしてですか？！どうしていきなりそんなこと言うんですか！？決勝トーナメントは机くんが入るのが自然じゃないですか！既にだいぶヘロヘロの筑波くんより、机くんの方が戦えるのに、どうしてそんなことを？」
駒野「いや、かなちゃん、僕はそれでいい」
西田「な、」
机くんは自分のノートのページをめくりながら話していく。
駒野「次当たる京都の翔耀高校のことだけど、僕、富士崎の方を見てたから、細かい試合内容はわからないんだけど、あ、あった。負けた高校の子にどうだったか聞いて、そしたら、」
そうすると肉まんくんがノートを取り上げた。
西田「なんで、なんで、言わねぇんだよ。自分がスタメンで出るって、なんで！一緒にずっと頑張ってきたじゃんか！なんで後輩に譲るんだよ！一年が入って俺らにも余裕ができたけど、ダメなんだよ！
ダメなんだよ、自分が前に出なくてもいいって思ったら、気持ちが矢面に立たなくなった瞬間から、力の現状維持さえ難しくなるんだ。
俺はオーダーを書き換えてでも試合に出たいっていう筑波を買う」
そう言うと太一にノートを無理矢理渡し、
西田「後は部長が決めてくれ」
肉まんくんは階段を上って行った。
奏「肉まんくん！」
肉まんくんの気持ちがすごくすごく、伝わってきたし、
みんなも同じように伝わっていると思う。
でも、
「太一、ノート、見せてくれない？」
太一「え？あ、うん」
私は太一からノートを受け取り、ページを開く。
そこには各高校の情報がびっしりと書かれていた。
…すごいな、
さっきもちらっと机くんが言ってたけど、
戦って負けた高校の子に話を聞きに言ってまで、この情報を集めてくれたんだよね、
それはきっと、すごくすごく大変なことだったんだろうな、
だって負けた高校からすれば自分たちに勝った高校は勝っていってもらいたいものだし、
それを踏まえた上で、話を聞きにいって、
いろんな会場を回って、情報を集めてくれたんだ…。
このノートを見ればわかるよ、
机くんがどれだけ、走り回って、集中して、試合を見ていたのか。
だからこそ、
「………私も、次の試合も、予選と同じメンバーでいいと思う、」
奏「え？！Aちゃん？！」
千早「A、それちょっと貸して」
私はノートを渡す。
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作者名：しのぶれど | 作成日時：2016年10月16日 22時
