【A3!】同期と先輩【茅ヶ崎至・卯木千景】

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Aごめん、風邪ひいた。欠勤します。
風邪ひいて声が全く出ないから、電話じゃなくてメールにしたんだけど大丈夫だよね?
昨日の分の仕事は全部片付けてあるから、提出をお願いします。
迷惑をかけるけどごめんねm(_ _m)

先輩の運転する車に乗って出勤していると、立花からLIMEが来た。本当に風邪なのか？とは疑うが、本人がそう言っているんだ。そこは探らないでおこう。“了解。お大事に”とだけ送って、先輩に声をかける。

「今日、立花風邪で休みらしいっすよ」

「珍しいね、健康優良児なのに。何かあったのかな」

精神的な問題が何かあったと、先輩は思っているのだろう。俺もそう思う。一昨日のこともあるし、昨日のこともある。家はこの間行って覚えてるし、迷惑かもしれないが今日の帰りに行ってみよう。先輩にもその事はちゃんと伝えとくか…。多分、監督にも伝えといた方がいいだろうし。

「ろくに仕事も終わらせずに休むとか、社会人失格だろ。それも電話じゃなく、メールでとか。何考えてんだか…。契約更新も失敗して、仕事も終わらせずに休むとか逃げにしか思えないなぁ。これだから女は…」

出社してすぐメールを確認した上司は、立花のデスクの前に立ち全体に聞こえるくらいの声で言った。もちろんその声は俺や先輩に聞こえるわけで、俺もイラッとはきたが先輩はそれを顔に隠せてない。というか、隠すつもりないが正解なのだろう。

「立花は仕事を終わらせています」

立花のデスクにあった書類を、全て上司のデスクに移し言った。未処理の仕事なんて1つもなかった。上司はろくに書類も見ずに、終わってないなんて言ったのだろう。俺が提出すると目を点にしていたから。

「また茅ヶ崎に手伝わせたんだろ？自分のミスから出た仕事だと言うのに」

「今回は俺、一切手伝ってませんけど？何を見てそう仰っているのですか？あと立花のミスだと言いますけど、もともと…｣

「茅ヶ崎」

「なんでもないです。すいません」

つい熱くなってしまい、言わなくてもいいことを言いそうになった。先輩に止められなかったら、俺も怒られていただろう。とりあえず立花の誤解を解かなければ駄目だ。風邪が治って出社した時に上司はいいとして、その他の人から冷たい目で見られるのは辛い。それも無実の罪なら尚更だ。

「あまり気を張りすぎるな。Aのことなら大丈夫だ。社員全員分かってるから」

考えているとそう言って珈琲を置いた先輩。あなた、エスパーですか？

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