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茅ヶ崎至side

ボードには立花外出とあったので立花が帰ってくるまで待とうと思い、少し残ってた仕事を進めた。

仕事も終わり、再びボードを見るが変わってない。直帰に変更なら誰かしらに連絡するだろう。まぁ、商談らしいから話が盛りあがって帰れないってこともあり得る。邪魔しては悪いのでLIMEだけ入れておこう。

茅ヶ崎至無理はするなよ

一言だけ送り、俺はエレベーターに行こうとした。その時、誰もいない電気もついてない休憩室に見覚えのある背中が、駆け込んでいくのが分かった。俺は柄にもなく、その背中を追いかけて休憩室に入った。

「A!!」

「…あ、茅ヶ崎。どうしたの?そんな血相変えて」

俺の声で驚いたのか一瞬ビクッとしたが、立花は下を向いていた顔を上げて俺の方を向いた。それもいつもの笑顔ではなく、貼り付けた笑顔で。無理してんの、バレバレなんだよ。

「もう仕事はないんだよな?」

「んー、少しあるから終わらせちゃう!だから先に帰っていいよ」

わざと明るく言っている立花の声はとても弱々しく、今にも消えてしまいそうに感じた。

「…茅ヶ崎?」

俺はそんな立花を見ていられなくて、気がついたら抱きしめていた。いつもの立花だったら、ここで笑って“何してんだよ”って言うだろう。でも今は違かった。確かに“何してんだよ”とは言った。けど、俺が求めていた声じゃない。今にも泣きそうで涙を堪えている声に聞こえた。

「なぁ、俺そんなに頼りないか?先輩みたいに守れないかも知れないけど、俺のことももっと頼って欲しい。泣きたい時は泣けばいい。笑いたい時は笑えばいい。嬉しかったことは2人で倍にして喜んで、悲しいことや悔しかったことは2人で分け合って、悩み事は2人で一緒に悩めばいいじゃん。俺ら同期なんだし?な?」

立花の背中にまわした手で軽く叩きながら、柄にもないであろうことを言った。立花は鈍感だから気付かないかもしれないが、今の俺の精一杯の告白。同期で締めたのは、まだ俺が臆病だから。この距離以上遠くには行きたくないから。

立花は少ししてたら、堪えられなくなった涙を流し静かに泣いた。そんな立花を1度強く抱きしめた。

「…ここで待ってて。立花のタイムカード押してくるから」

本当は嫌だったが、1度立花から離れ急いでタイムカードを押しに行った。

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てら(プロフ) - 自分にも似た様な経験があるので主人公の気持ち痛いほど良くわかります。主人公がまた職場に戻って欲しい気持ち半分、無理しないで欲しい気持ち半分です。この暖かい環境で主人公がまた心から笑える日を楽しみにしています。続き楽しみにしています、頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: dc9ce9c8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ginmikoto(プロフ) - 上司に殺意が湧きました。至さんも千景さんもツートップで推しなので恋愛でどちらかを選ぶなんて、私はおそれおおくて出来ませんね笑。でも、更新すっごく楽しみにしてます!頑張ってください!そして至さんの教育係の人に惚れました。笑 (2019年4月4日 0時) (レス) id: 91596e022c (このIDを非表示/違反報告)
椏萌☆紅弥 - これは泣くな。(確信) この話や読んだら寝ようと思っても続きが気になって更新されてる分全部読んじゃいました笑 頑張ってください! (2018年10月22日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - やばい…たるちもチカちょんもイケメソすぎるて。 (2018年7月1日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 千景さんかっこいい…頑張ってください!! (2018年6月14日 21時) (レス) id: dc516c7501 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:李人 | 作成日時:2018年5月12日 10時

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