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「茅ヶ崎〜」
千景さんが日本から出るため、有休を取った今日。 何故かは何となく分かるが、仕事が多い。そろそろ定時だが、終わる気配が全くない。それも憎いことに、ほとんどの書類の提出は明日。残業しなければならない。猫の手も借りたい思いで、デスク整理をしている茅ヶ崎の名前を呼んだ。
「どうした?そんな元気の無い声で」
「仕事が終わらん!」
軽くデスクを叩き、茅ヶ崎の顔を見て笑いながら言ってみた。
「うん。頑張って」
「え、冷たくない?」
「その中の明日提出分なら、遅くても1時間以内に終わるでしょ?」
“だってその小さい山でしょ?明日提出分”と書類の山を指した。
「残念ながら、そのお隣。大きい方の山なんだな。明日提出書類は」
「は?」
マジかよ、みたいな顔で私の顔を書類の山を交互に見る茅ヶ崎。これが残念なことにマジなんだよ。
「また、アイツか」
「そう、アイツ」
アイツ本人(部長)は今、タバコ休憩という名のサボりでいないので気にせずアイツと呼ぶ。絶対この仕事、アイツの担当だしな。アイツには“卯木が途中までやったが、終わらなかった仕事”と言われたが、昨日の帰りの千景さんのデスクの上は書類なんて一切なく綺麗な状態だった。それとあの人が中途半端に仕事をするわけない。
「……半分、手伝う。それで2時間以内に終わらせよう」
「分かった。ありがとう」
大体半分に書類を分け、少ない方を茅ヶ崎に渡そうとした。しかし茅ヶ崎は私が持っている書類ではなく、デスクに置いてあった方の書類を取り自分のデスクに戻った。
「じゃ、お疲れ〜」
定時ぴったりにタバコ休憩から戻ってきたアイツは、戻ってきてすぐに同じ部署の女性に声をかけ2人で帰った。この後、2人で食事に行くのだろう。エレベーターホールあたりで美味しいお酒のある店を紹介したいとか、アイツが結構大きな声で言ってたのが聞こえた。ここまで聞こえてるの気づいてないのかな。
「立花、終わった」
2時間も経つ前に茅ヶ崎から完成した書類が渡された。相変わらず、仕事が早い。ちなみに私もちょうど終わったところだった。
「助かった、ありがとう。今日は帰れないかなとも思ってたから、帰れて良かったよ」
「....それは良かった。もう誰もいないし、早く帰るぞ」
「先帰っていいよ。まだ片付け終わってないし」
「待ってるから、はよ」
そう言い、茅ヶ崎は携帯を触り始めた。
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てら(プロフ) - 自分にも似た様な経験があるので主人公の気持ち痛いほど良くわかります。主人公がまた職場に戻って欲しい気持ち半分、無理しないで欲しい気持ち半分です。この暖かい環境で主人公がまた心から笑える日を楽しみにしています。続き楽しみにしています、頑張ってください! (2019年10月14日 23時) (レス) id: dc9ce9c8b0 (このIDを非表示/違反報告)
ginmikoto(プロフ) - 上司に殺意が湧きました。至さんも千景さんもツートップで推しなので恋愛でどちらかを選ぶなんて、私はおそれおおくて出来ませんね笑。でも、更新すっごく楽しみにしてます!頑張ってください!そして至さんの教育係の人に惚れました。笑 (2019年4月4日 0時) (レス) id: 91596e022c (このIDを非表示/違反報告)
椏萌☆紅弥 - これは泣くな。(確信) この話や読んだら寝ようと思っても続きが気になって更新されてる分全部読んじゃいました笑 頑張ってください! (2018年10月22日 23時) (レス) id: d67f03efe8 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - やばい…たるちもチカちょんもイケメソすぎるて。 (2018年7月1日 20時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
にゃんこ(プロフ) - 千景さんかっこいい…頑張ってください!! (2018年6月14日 21時) (レス) id: dc516c7501 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:李人 | 作成日時:2018年5月12日 10時