ヒメ【東京リベンジャーズ】漆

#3 ページ8

心から三ツ谷のことを兄貴分として慕っている事が普段からも伝わってくる。

それは多分、実際の兄・大寿よりも。

……携帯の待ち受けが三ツ谷なのを見たときは若干引いたけど。


「そんな顔すんな八戒……わかってっから。」


三ツ谷の言葉を聞いた八戒が立ち上がって頭を下げる。


「お世話になりました！！！」


そのままわたしの横まで歩いてきた三ツ谷は立ち止まる。


「は？何言ってんだ？俺は認めねぇよ。」


そして八戒を見てはっきり告げた。


「大寿に会わせろ。」




――




解散となった幹部会。

わたしは三ツ谷と八戒の後ろを歩く。
その後ろにはたけみっちと千冬。

これから三ツ谷の申し出通り、黒龍十代目総長・芝大寿に会いに行く。

いや、八戒の兄・大寿に会いに行く。
……かな？


「タカちゃん…」


「あん？」


「やっぱり兄貴と会うのはよくねぇよ。どう話し合ったっていい結果生まないぜ？アイツはクソだ。」


弟にここまで言われるってどんだけクソなんだ。

……え、わたしも弟にクソとか言われてたらどうしよう。


「うっせぇな、お前は昔からそうやってひとりで抱え込む。
それよりよー…」


と、三ツ谷は後ろを振り返る。


「なんでこいつらついて来てんの？」


その疑問に答えるのはたけみっちと千冬。


「え？だって俺当事者っすよ？」


「付き添いです。コイツアホなんで。」


「てめッ、あのクソな作戦忘れねーかんな！」


たけみっちの言葉に、やっぱりなにか企んでたんだな、と思う。


「ハハ、結果こーなってよかったじゃん。」


そんな前向きな千冬も大好きだと心の中で叫びながら

(なんだかんだでいいコンビになりそう。)

なんて微笑ましくふたりを見ていると、
三ツ谷からの視線を感じる。


「で、Aは？」


『…わたし？』


なんとなく勢いでついて来てしまったなんて言えない。


『…来ちゃった』とか言ってみるか？
語尾にハートマークなんか付けてみたりして。


……


いや、三ツ谷には駄目だ。
駄目な気がする。


「…」


三ツ谷の目が怖い。
まだ何も言ってないのに。

そういえば凄腕ママンは、わたしの考えてることなんてお見通しだった。


逃げ場のないわたしは思い浮かんだ事を言ってみる。


『…今日は、弐番隊隊長側近なの。』


「何だそれ。」


『分かんないよ、今考えたんだから！』


「はぁ…ま、いっか、」


三ツ谷のお許しが出た。

弐番隊隊長側近、頑張るぞ！

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