ヒメ【東京リベンジャーズ】参 (ページ13)

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頭を下げたままドラケンは話し出す。

「これから愛美愛主と揉める。オレらの世界の事はオレらの中だけで片付ける。うちのメンバーにもみんな家族もいれば大事な人もいる。関係ない人巻き込んじゃだめだ。周りの奴泣かしちゃだめだ。」

『…』

「下げる頭持ってなくてもいい。人を想う心は持て。」

「ケンチンは優しいな。ごめん、ケンチン。俺、ケンチンが隣にいてくれて良かった。」

ちゃんと認めて謝れる所はマイキーの良い所だ。

わたしも思う。
ドラケンがいてくれて良かった。

ドラケンがいなかったらきっとわたしはここに来ていないだろうから。

「さて。帰るか。」

ふたりは廊下を歩いていく。
わたしはもう一度女の子に視線をうつした。

固く閉ざされた目は未だ開く事はない。

身体の傷は時間が経てば治るし、目立たなくもなるだろう。

だけど…心に受けた傷は簡単には治らない。
もしかしたら一生治ることはないのかもしれない。

どれだけ怖かっただろう。

「A？」

きっとわたしなんかが想像もつかないくらいの恐怖だったに違いない。

許せない。

愛美愛主は絶対に許せない。

無意識に握りしめていた拳を更に強く握っていた。

ふと、そんな右手に触れる自分以外の温もり。

見ればマイキーがわたしの手をとって握っていた拳を優しく開いてくれていた。

そしてそのまま手をひいて言う。

「A、行こ。」

『うん…』

マイキーに手を引かれてわたしもその場を後にした。

病院を出て少しすると三ツ谷がバイクでやってきた。

「Aはひとりで大丈夫？」

『うん。ありがとうマイキー。』

「うん。」

そう言って繋いでいた手を離して三ツ谷の後ろに乗り込むマイキー。

「明日パーちん呼べるか？」

「あぁ、ぺーも行かせるよ。二中近くの倉庫でいいな？」

「頼む。」

ドラケンと三ツ谷の会話を聞きながらわたしはマイキーに話しかけた。

『マイキー。』

「ん？」

『あとで、家、行ってもいい？』

家というか道場に行きたい。
久しぶりに体をおもいっきり動かしたい気分だ。

「分かった。後で迎えに行くよ。」

『うん、ありがとう。』

マイキーはわたしの頭をひと撫でしてから
三ツ谷のバイクで帰っていった。