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そんな光景を微笑ましく見ているドラケンと目が合う。
「お前は許すと思ってたよ。」
『…ドラケンも、心配かけてごめん。』
連絡をしていなくても。
多分、いやきっとドラケンは心配してくれていたと思うから。
「いや、俺も悪かった。あそこで俺らが言い合ってなけりゃマイキーはあんな事言わなかっただろうから。」
『ううん、』
もしかしたらドラケンはずっとそんな事を思っていたのかもしれない。
何となくそう思った。
全然そんな事ないのに。
エマは満足したのかヒナちゃんの所へ戻っていった。
ドラケンの隣にたけみっちが見える。
『たけみっち、怪我大丈夫?』
「はい、」
『お見舞い行けなくてごめんね。』
「いえ!そんな!それより、ほんと、良かったです。」
たけみっちにまで心配をかけてしまったらしい。
『心配かけてごめんね。』
「いえ、全然。」
『あと、ありがとう。』
「え?」
『たけみっちが仲直りさせてくれたんでしょ?』
「…俺は、何も、」
謙虚なたけみっちに笑みが零れる。
わたしはもう一度お礼を言った。
『本当にありがとう。』
「…」
そういえば…と、わたしは思い出した事を口にする。
『この間の、ちょっと嬉しかった。』
「この間の…?」
『マイキーやドラケンやわたしとせっかく仲良くなれたのに…ってやつ。』
「あぁ…すみません、あの時俺必死で…」
『ううん、わたしもたけみっちと仲良くなれて嬉しいよ。』
「Aさん…」
たけみっちと話してるとエマがまたやって来て言う。
「Aもお祭り行くでしょ?」
『……お祭り?』
「あれ?A忘れてた?明後日、武蔵祭りだよ?」
武蔵祭り…
8月3日は決戦の日で覚えてたから頭になかった。
だけど、決戦はなくなったから、お祭りに行ける…
『…行きたい。』
「彼氏、誘いなよ。」
『…』
エマの言葉に少し想像する。
千冬とお祭り………行きたい。
誘って、みようかな?
と、携帯を開くとだんだん自分の心臓がうるさくなるのを感じる。
なんだこれ。
…もの凄い緊張するぞ。
携帯を見つめて動かなくなったわたしにエマが声を掛ける。
「A?ほら、早く電話しなよー。」
『で、電話は、無理!』
「え、なんなの?ヒナもAも。彼氏誘うだけなのになんでそんな緊張すんの?絶対オーケーなのに。」
分かんない。分かんないけど、なんか凄く緊張する。
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作者名:Tmwixx | 作成日時:2022年10月10日 9時