ヒメ【東京リベンジャーズ】壱 (ページ10)

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3人で話してると万次郎がやって来た。

「A。」

『万次郎。どうしたの？』

そして唐突に言う。

「Aに飛び蹴りは無理だ。」

『…』

「万次郎、はっきり言い過ぎだろ。」

「コイツ、この世の終わりみたいな顔してるぞ。」

これが圭介だったら、
『無理じゃない！』っておもいっきり反抗している所なのだが
万次郎本人に言われてしまうと衝撃が大きすぎる。

「場地。これ顔の横で持って立ってろ。」

「え、」

万次郎はミットを圭介に渡し
固まって動かないわたしを見て言った。

「A、見てろよ。」

『…』

万次郎は圭介と向かい合ったかと思うと
横にまっすぐ足を振り上げて圭介のこめかみ付近を蹴った。

ドゴンッッ！

と、同時にものすごい音がした。

『……』

なんだ今の。

目の前では圭介が「いてぇんだよ！」ってキレている。

万次郎が足を上げたと思った瞬間凄い音がした。

まっすぐ上がる足がゆっくり見えた。
なんで万次郎の蹴りってこんな綺麗なんだろう。

『…凄い！凄い音したよ！万次郎!!ねぇ！』

興奮が抑えきれないわたしに万次郎は笑って言う。

「うん。じゃあね。」

『え？』

じゃあね。と言い残して万次郎は道場を出ていく。

『え？』

そしてそのまま万次郎の姿は見えなくなる。

『えー…』

見てろとか言うからてっきり教えてくれるのかと思った。

だけど、さっきの蹴りは頭に焼き付いている。
この状態で一回同じことをやってみたい。