ヒメ【東京リベンジャーズ】壱 (ページ46)

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そして忘れていた。
圭介と同じレベルの人間の存在を。

「え？メガネかければ頭良くなるの？」

『「…」』

どうしよう。ガリ勉が増える。
だけど、答えるのがめんどくさい。

「ねぇ、メガネかけとけば頭良く…」

「わりぃ遅れた。」

噂をすれば何とやらだ。
よく来た圭介。パーちんに答えなくてすんだ。
今だけ褒めてやろう。

「お！来たな、ガリ勉！」

「あ？殺すぞ！」

冷やかすぺーやんに答える圭介。

そのすぐ人に殺すって言うの直した方がいいと思う。
と、後で言ってやろう。

「こっちだ！」

「はい！」

圭介が誰かを呼んだ。
例の、紹介したい奴だろう。

わたしは自然とそちらに視線を向ける。

その瞬間―――時が止まった。

視線が、外せない。

圭介が話しているのになにも聞こえない。
聞こえるのはいつもより早い自分の心臓の音だけだ。

動かせない…手先でさえも。

自分の体ってどうやって動かすんだっけ…

「…で、コイツがA。総長側近。」

「よろしくお願いします！」

『…』

「A？」

『…』

「？」

『!!!!』

何も答えないわたしを不思議に思い首を傾げたその人と目が合った。

その瞬間一気に身体中の熱が顔に集まるのを感じる。

「A！」

いきなり圭介がドアップで視界に入ってきた。

『わっ!!!!』

「なんだよ、ボーっとして。大丈夫か？」

『だ、大丈夫。…大丈夫。』

自分に言い聞かせる。
相変わらず心臓はうるさい。

「ったく、よし、次行くぞー。」

「はいっ！」

みんなへの挨拶が終わり行ってしまう。

わたしは息をひとつ吐き出した。

やっと呼吸が出来たような感覚。

未だうるさい心臓は鳴り病む気配はない。
顔の熱も引きそうにない。

わたしはただただそこに立ち尽くしていた。