ヒメ【東京リベンジャーズ】壱 (ページ42)

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“Aが万次郎と結婚してくれたら、俺、兄貴になれんのになー”

そう言って笑った真一郎くんの顔が頭の中に広がっていく。

『…』

まさか、わたしからこの言葉を言うことになるなんて。

『マイキー…』

「ん？」

『結婚しよっか。』

「………………は？」

わたしの突然のプロポーズに、
今までずっと夜空を見ていたマイキーは起き上がって
わたしを凝視している。

そんなマイキーを視界の隅に捉えながら
わたしは寝転んだまま続けた。

『そのとき、真一郎くん言ってたの。マイキーとわたしが結婚すれば兄貴になれんのにな、って。』

「…Aなんて返したの？」

『30歳になっても結婚してなかったら考えるって。』

「…なんだ、そうゆうこと。30ってリアルだな。」

プロポーズの意味を汲んだマイキーは、
再び寝転んで夜空を見上げる。

『それ、真一郎くんも言ってた。』

「んー、30じゃ早くね？50にしようよ。」

『え、やだ。』

50歳まで結婚出来ないなんてやだ。

「じゃあ、40。」

あんま変わってない。
というか、

『40歳じゃ子供産めないよ？』

視線を感じて顔だけを横に向ければ
目を丸くしたマイキーと目が合う。

「A子供産んでくれんの？」

『だって、マイキーの血は途絶えさせられない。』

「何ソレ。んーじゃあ、35？」

結婚を前提に話がどんどん進んでいく。

“結婚しない”という選択肢は、
今のわたし達にはない。

『んー…33！』

「その刻みに意味あんの？」

『大アリだよ。』

30代の2年はでかいぞ。
……多分。

「じゃあ、33ね。」

『……やっぱ30。』

「もー何歳でもいい、」

『30で。』

「でもいいの？Aの夢、叶わないよ？」

『……叶えるから大丈夫。』

「どうやって？」

『どうにかして。』

「じゃあその時は、オレがAの夢叶えてあげる。」

『…』

今度はわたしが目を丸くする番だった。
そのまま顔を横に向けるが、
既にマイキーは立ち上がっていて。

その顔を見ることは出来ない。

「帰ろっか。」

そう言ったマイキーは公園を出ようと歩き出す。

……え、ちょっと待って、

『ちょ、マイキー待って、』

マイキーの後に続いて公園を後にする。

日付はとうにこえていた。