ヒメ【東京リベンジャーズ】壱 (ページ11)

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わたしはちゃっかり帰ろうとしている圭介に慌てて声をかけた。

『圭介！待って！』

「あ？んだよ？」

相当痛いのか、まだ若干キレている圭介が振り向く。
そんな事を気にせずわたしはミットを差し出す。

『持ってて！』

「は？やだよ。」

『なんでよ！万次郎のは持ってたじゃん！』

「アレは持たなきゃ俺の頭が吹っ飛んでんだよ！」

いや、たしかにそうかもしれないけれども！
よし、こうなったら……

『お願い！八重歯可愛いね！』

「んだその言い方！」

…言い方の問題？
それなら。と言い直す。

『その八重歯、可愛いね。』

「何言い直してんだよ。気持ち悪ぃ。」

『カッコ良く言えって言ったじゃん。』

「言ってねぇよ！」

『何でもいいから持ってて』

「ふざけんな。」

後ろではわたし達のやりとりを見ていた真一郎くんが笑っている。

それにしても圭介は優しいらしい。

その証拠に口では文句しか言ってないのに
その手にはちゃんとミットが握られている。

そして結局、
「はやくしろ。」
とか言いながらミットを顔の横で構えてくれる。

ツンデレ？ツンデレってやつか？

よし。
さっきの万次郎の蹴りを頭にイメージしたまま足を振り上げてミット目掛けて…蹴る！

トンッ

『…』

「…真剣にやれ。」

『やってるよ！』

この日から蹴りの自主練に圭介が付き合ってくれる事が増えたとか、増えていないとか。