易しい知恵熱【Q.K】

右脳の宇宙論 / ymmt ページ23

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「は、はじめまして……！」

「はじめまして。えっと、戸代さん、でしたよね？ 福良さんの幼馴染の」

「そうです、そうです！ 山本さん、本物だ……」

「はい、本物ですよ？」


　私が何に感動しているのかイマイチわからなかったらしい山本さんは小首を傾げる。
うう、可愛い……。山本さんの可愛さを噛みしめている間に伊沢さんが私のことを紹介してくれたようだ。
納得した様子で数回頷いた。


「戸代さん、これからよろしくお願いします」

「よっ、よろしくお願いします！」


　笑った顔が動画よりも数千倍眩しくて可愛くて、ありきたりな返答しかできない。


「あ、今可愛いって思いました？」

「ぅえ！？ 何で、いや、えっと、」

「最近何となくわかるんですよねえ。志賀さんとかにもカワイイって言われるから」

「す、すみません……ご不快ですよね、気をつけます」

「いえいえ全然いいんです！ 無関心より嬉しいですし、それだって僕の強みですから。それに、褒められて不快な気分になる人はいませんよ」


　すごく優しい配慮をしてくれて思わず涙を呑む。人柄なんだろうなあ……素敵だ。

　そんな出会いをしたのも数時間前。
伊沢さんや福良くんは動画撮影のために別室へ移動して、部屋には私と山本さんだけになった。

　私は課題である論文集を読み進めていたし、彼も自身の用事のためかキーボードを叩いている。
互いが自分のことをやっている空間がなんだか心地よかった。

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