3 ページ22
.
また暫しの沈黙の後、川上さんが傘を開いた。
黒の大きい傘は、川上さんの雰囲気にとてもよく似合っていた。
それをこちらへと傾ける。
「送ります。確かAさんの家、ここから近かったでしょ」
「いいいいえ! 悪いです! 大丈夫ですこれくらい! 小雨です小雨!」
「そんなん言って風邪でも引いたら後味悪いやろ。いいから」
これは、俗にいう相合傘とか言うヤツでは……!?
こんなの青春真っ盛りの高校時代にだって経験したことないのに、まさか尊敬する川上さんとなんて。
「恐縮です……」
「恐縮しなくていいんで道案内お願いします」
「はい!」
どうやっても誤魔化せない熱の集まる頬をどうにかするのは諦める。
淡々と道案内だけを続けていれば、ふいに川上さんが私の名前を呼んだ。
「Aさん」
「はい?」
何を言おうとしたのか、川上さんは一瞬ためらって視線を逸らす。
目が合わないままポツリと零される言葉。
「……いい天気ですね」
「えっと……? 雨ですよ?」
首を傾げれば、どこか満足そうに川上さんは笑った。
.
537人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れのん - 短編集完結、お疲れ様です〜!!kwmrさんのお話もありがとうございました、とっても素敵でした…!!kwmrさんらしい優しさにドキドキしました…!!!長編も楽しみに待ってます!ありがとうございました!! (2018年10月16日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» こんばんは。コメントありがとうございます! 続きが遅れまして申し訳ないです。とても楽しいリクエスト、嬉しかったです。最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2018年10月16日 22時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 更新ありがとうございます〜〜!!現段階でもすごくドキドキします……!!続き待ってます!! (2018年10月12日 23時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
れのん - 三星さん» ありがとうございます!!いつまでも待つのでゆっくり更新なさってください。 (2018年10月10日 21時) (レス) id: 90e7c9629e (このIDを非表示/違反報告)
三星(プロフ) - れのんさん» れのんさんこんばんは。コメントありがとうございます〜〜。嬉しいお言葉、幸せです。kwmrさんのリクエストもありがとうございます。次回更新時に書きますのでお待ちいただけると嬉しいです。今後ともよろしくお願いします〜〜 (2018年10月10日 17時) (レス) id: 49fd1affdc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:三津 | 作成日時:2018年9月14日 17時