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*秘密の部屋 ページ4

.



私は本来世渡り上手ではない


人と話すことが苦手、というよりも人より感情を表現しづらいのだと思う




だから、学校では基本無言でいることが多いがそれでも話しかけてくれる人もいる







「高橋さんおはよう!」



「おはよう西田さん」



「今年も同じクラスだね、よろしくー」



「うん、よろしく」







西田さんは一年の時に同じクラスだった人



元気が取り柄でよく人に囲まれてるお日様みたいな存在、たぶん今年もこの人が輪の中心にいるのだろう





「あ...」





新しくなった教室を見渡すと、思わず声を漏らした



茶髪の髪が跳ねた後ろ髪に反応してしまう
いるはずないのに、つい連想してしまう私は手遅れなのだろう






また1年が始まっても私は彼を忘れないでいる




忘れたいのか


忘れたくないのか



言葉にすることができるのなら苦労しない





でも今更何を思っても私には関係のない話で


言葉が見つかってもそれを伝える相手は目の前に現れてはくれない





真ん中の1番後ろの席




そこから見渡す風景は自分と切り離された、テレビを見ているような気分





学校は楽しい


好きだ






でもどこに行っても彼との思い出が邪魔する









.









あれから数日経ってクラスも少しづつ互いに馴染め始めた頃





私は相変わらず本を読んで昼休みを過ごしていた




しかし少しうるさくなった教室で本を読むほど私の神経は図太くないし図書館で読むほど集中したいわけでもない






「そういえばこの間見つけた穴場行こうかな」






本と、いつも持ち歩いてる袋を手にしながら私は教室を出た




たまたま見つけたあまり生徒が通らない廊下を進んだ右に曲がった突き当たりの扉の先



空き部屋で中はほとんど何もなく、大きな窓がただポカポカと日差しを照らしてる







「少しだけ、やってもいいよね」






本を読みに来たはずなのに、私は手にしていた袋からあるものを取り出した






「バレーボールってどう打てばいいんだろう...」






少し使い古されたバレーボール



私はポンポンと両手で上げて戻しての繰り返しをしたあと、
少し考えてからボールを上げてトンッと手のひらで扉に向かって打った





「あっ、上手くいった...」





だがタイミング良く誰かが部屋に入ってきた





「あっ、」



「あ?」





ぶつかると思った瞬間



何が起こったのか、いつの間にかボールが私の方へと戻っていた




.

*再会と始まり→←*ミルク味の飴



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作者名:椿 | 作成日時:2019年9月24日 19時

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