生徒42「烏野に勝利を」 ページ43
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サングラスを外した私は逆に冷静になった。
黒尾と最後に会ったのは彼が中学生の時。覚えていたとしてもかなり朧げだ。そう考えると自分から目立ちにいっていたスタイルをやめて正解だったかも。
ありがとう澤村、今度肉まん奢ってあげるよ。
安心した私は武田先生に無理言ってこの格好にしたことを謝ろうと思った。だが丁度相手の先生との挨拶が始まり、鳥飼さんと知り合いらしい相手のコーチは旧友のように笑い合ってる。
このタイミングで行くのもなぁ...
?「よぉ、繋心か」
鳥「お久しぶりです、猫又先生」
猫「相変わらずじじいそっくりな顔しやがって」
活気のいい笑い声が聞こえてきた。
そこにいたのは有名な監督の猫又先生、昔と変わらない元気なその姿に少し安心した。
武「お、お電話した武田です。今日はわざわざ本当にありがとうございます」
猫「そりゃあんなに電話もらったらねぇ、来ないわけには」
武「す、すみません!」
猫「冗談です、冗談!」
やっぱり武田先生は根性でこの練習試合を組んだな。
猫又先生は鋭い眼差しで、鳥養さんじゃなくても容赦しないと告げた。
少しピリピリした空気に腹の底から湧き上がる灼熱を冷ますようにふぅーと大きく息を吐く。
猫「それで、そちらにいるのは誰かね?」
やはり見過ごしてはくれないようだ。
当たり前か、このベテランの監督がバレーをやったことある人の有無がわからないはずがない。
意を決してキャップを取り、猫又先生の前まで歩いた。
「申し遅れました、佐藤Aと言います。バレー部ではコーチの補佐をやらせて頂いてます」
猫「聞いたことがある名前だな」
まさか県外の監督にまで知られてるとは。
いや、猫又先生は鳥養前監督とはよく練習試合をしていたと言っていた。なら話題に出てもおかしくないか。
バレーに関わればいつか捨てた過去が掘り返されるのは覚悟していた。だけどこんなに早くなるとは思いもしなかった。
「高校の頃全国に行きましたのでその時かと」
猫「なるほど、経験者がいることは烏野にとってもいい勉強になるだろう。今日はよろしく頼む」
「ありがとうございます、こちらこそ今日はよろしくお願いします」
握手を求められ手を差し出せば、その手からバレーで作られたものを感じ取る。
猫又先生のような手の持ち主は一瞬でわかる、人生を通してバレーに全てを捧げたことを。
だから私も自身の覚悟をしっかり伝わるように握った。
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でんでんでん - お願いですぅぅううう更新してくださいいいいい大好きなんです😭😭😭 (7月7日 0時) (レス) @page46 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
アイスみたいな?? - うわぁぁぁぁ続きが気になりますぅ!!!!更新頑張ってくださいまし!! (2021年10月30日 1時) (レス) @page46 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
youyuetaoze(プロフ) - 面白かったです!更新頑張ってください! (2021年6月11日 7時) (レス) id: d01cf80ca9 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ああさん» ありがとうございます!可愛いは正義!!これからもよろしくお願いします。 (2020年4月23日 15時) (レス) id: 71b6ca274a (このIDを非表示/違反報告)
ああ(プロフ) - めっちゃ好きな感じです!のやっさんがかわいい…。これからも頑張ってください! (2020年4月5日 13時) (レス) id: 33ccc4dd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2016年10月25日 10時