生徒30「過去の面影」 ページ31
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さすがに大人気なかったかな...
先程のやり取りを思い出してついため息が出てしまった。
私もそれなりに感傷的になって言わなくてもいいことまで言ってしまい、影山に余計な気苦労をかけた。
それに彼は至極真っ当な質問をしただけで、別に私のことを非難したわけでもない。勝手に八つ当たりしただけの言葉になんの意味もないが、明らかにこちらを気にする影山に申し訳なくなった。
「しっかりしないと...」
鳥「さっきの、綺麗なスパイクだったな」
日向と入れ替わりで私は試合の続きを眺めていれば、鳥養さんはこちらを見ずに腕を組む。
「まぁ...自信のあるスパイクだったから」
鳥「それにしては表情が冴えないけど」
「...回りくどいの好きじゃないんだよね、言いたいことがあるなら言って下さい」
明らかに何かを含む物言いに少しイラつく。
思わず睨みつけるように彼の顔を見れば、思いの外真剣な顔で見つめられる。
鳥「あんたの事、知ってる」
「それは、どういう意味で?」
鳥「初めはただのバレー経験者なんだと思ったがさっきのスパイクを見て確信した。...まさかお前みたいな狂人が烏野にいるなんてな、皮肉なもんだ」
口角を上げて笑う鳥養さんは笑う。
あぁ、この人は私の過去を知ってるのか。
知ってるのに、同情も非難も何も言わない。
少し冗談交じりな言い方に私は心の底からホッとした。
「なるほどね、世代が同じくらいなら私の事知っても当然か」
鳥「お前これから音駒高校との練習試合どうすんだ」
「行かないよ。私あまり過去の事を表に出したくないの。それにちょっと会うのが気まずい子がいるんだよ...」
鳥「まぁ別に無理強いはしねぇが、そんな心意気でバレー部に関わるなら今のうちに手を引いた方がいいぞ。あとで辛いのは自分なんだから」
「わかってる、」
正論を言われて、それでも苦し紛れにうなづいた。
そんな事最初から分かってた、でも彼らの眼差しを拒むことができなかった。
だって、あまりにも眩し過ぎるのだから。
鳥「難儀なものだな、俺も、お前も。あの頃の青春はこの体育館に置いてきたのに懐かしさで戻ってきちまった」
「ふっ、私も似たようなもんだよ」
鳥「まぁ俺は練習試合までの臨時監督だからな。それまではよろしく頼むぜ」
「うん、よろしく」
鳥養さん、あなたは彼らの熱意を知らない。
このバレー部に関わった以上、去ることができないのは必然的だ。
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でんでんでん - お願いですぅぅううう更新してくださいいいいい大好きなんです😭😭😭 (7月7日 0時) (レス) @page46 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
アイスみたいな?? - うわぁぁぁぁ続きが気になりますぅ!!!!更新頑張ってくださいまし!! (2021年10月30日 1時) (レス) @page46 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
youyuetaoze(プロフ) - 面白かったです!更新頑張ってください! (2021年6月11日 7時) (レス) id: d01cf80ca9 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ああさん» ありがとうございます!可愛いは正義!!これからもよろしくお願いします。 (2020年4月23日 15時) (レス) id: 71b6ca274a (このIDを非表示/違反報告)
ああ(プロフ) - めっちゃ好きな感じです!のやっさんがかわいい…。これからも頑張ってください! (2020年4月5日 13時) (レス) id: 33ccc4dd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2016年10月25日 10時