生徒26「スタートライン」 ページ27
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このバレー部は圧倒的に足りないものがある。
彼らも身をもって知ってると思うが、それはレシーブだ。
ブロック、スパイク、トス、どれも並み以上だが、如何せんボールを繋ぐということをしなければそのどれもが何も始まらない。
どんなに澤村が一人でボールを拾ってもその後に続くものがいなければ意味がなさない。
だから私は西谷が来る前は守備を捨てて攻撃に専念する予定でいた。
だけど、今目の前で起こってることは私の考えていたこと180度ひっくり返る。
「まさかブロックフォローをするなんて...」
東峰がジャンプをし、その手でボールを叩き落したと思えばブロックに阻まれた。
さすがに三枚ブロックを崩すのは難しいだろう、物理的な力と隙間を見つける技術がなくてはならない。
だからそこまでありきたりで、予想はできた。
でもそこから諦めずに落とされたボールをあんなに綺麗に上げるなんて、どれだけ練習したんだろう。並大抵のことでは驚かないと思ってたのに、このバレー部では驚きっぱなしだ。
西「壁に跳ね返ったボールも、俺が繋いでみせるから...だから、だからもう一回、トスを呼んでくれ!エース!!」
凄まじい声量と気迫に圧倒された。
あぁ、彼らは本当に眩しいな...
嫌になるぐらい私がずっと求めていたバレーがここにある。
お互い思い合って考えて衝突しながらも改善するよう努め、何があっても信頼できる見捨てないチームメイトと共に勝利に向かって突き進む。
本当、なんで私の時はこうならなかったんだろう、
旭「すがぁぁぁ!!!もう一本!!」
エースがトスを呼んでる。
これに答えないセッターなんていないだろう。
緩やかにボールが東峰に送られ、スローモーションのように彼の動作がエースとしての風格が醸し出されていく。
重いスパイクが打たれ、ブロックを突き破って相手コートに叩きつける。
床に響く轟音に振動が伝わって私の足先から頭の天辺まで痺れた。
久しぶりだな、この感覚。
私もスパイクが打ちたくてウズウズしてる。
周りが騒いでるのにどこか遠く感じる、鳥養さんもコーチとして武田先生と話し合ってるのに私は集中できないでいた。
だめだ、私の悪い癖が出てる。
トスが私を呼んでないって分かってるに身体が反応して動きたがってる。
みんな、なんていないのに誰かの期待に応えたくて堪らない。
「はぁ、こうなるから嫌だったのに」
不完全燃焼なこの渦巻く熱に、彼らが火をつけた。
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でんでんでん - お願いですぅぅううう更新してくださいいいいい大好きなんです😭😭😭 (7月7日 0時) (レス) @page46 id: 92be24dccc (このIDを非表示/違反報告)
アイスみたいな?? - うわぁぁぁぁ続きが気になりますぅ!!!!更新頑張ってくださいまし!! (2021年10月30日 1時) (レス) @page46 id: 173f9610a3 (このIDを非表示/違反報告)
youyuetaoze(プロフ) - 面白かったです!更新頑張ってください! (2021年6月11日 7時) (レス) id: d01cf80ca9 (このIDを非表示/違反報告)
椿(プロフ) - ああさん» ありがとうございます!可愛いは正義!!これからもよろしくお願いします。 (2020年4月23日 15時) (レス) id: 71b6ca274a (このIDを非表示/違反報告)
ああ(プロフ) - めっちゃ好きな感じです!のやっさんがかわいい…。これからも頑張ってください! (2020年4月5日 13時) (レス) id: 33ccc4dd69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:椿 | 作成日時:2016年10月25日 10時