ウチの好きな人は (ページ1)

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四月の好きな人1-1 ページ1

4月、ウチの好きな人はコタツをこよなく愛している。

一日の大半はコタツで過ごしていると言っても過言ではないだろう。

しかもコタツで寝てしまっていることがよくあるため、風邪を引かないか常にヒヤヒヤしている。

今もAはコタツでゴロゴロ。

だが、

「A、4月ももう終わりだぞ？」

エイプリルフールに花見と、4月らしい行事を終えて5月を迎えようとしている。

コタツはそろそろいいんじゃないか…？

『ん～、分かってるけど……分かってる…け…ど…』

言い訳をしながら寝てしまった。

かなり愛らしいが、今のままではAはダメ人間になってしまう。

コタツにはどうやらそういう作用があるらしい。

日本はストレス社会だからな、こんな快楽から抜け出せない装置を作りあげるのも無理ないか…。

ウチはAの両脇に手を滑らせ、コタツから一気に引き抜いてやった。

『わ、スパナ、何するの』

「A、残念だがコタツは今日でお別れだ」

Aの文句を背中で無視しながら埃っぽい布団を干す。

春の陽射しはこの布団にかなり効果的だろう。

Aは文句を言っても無駄だと分かったのか、黙って頬を膨らませていた。

実はそういう顔も好きだったりする。

今の待ち受け画面は花見のときに撮ったAだが、あのふてくされた顔も待ち受けにしたいと思う。

きっと異常な愛情かもしれないが、新婚ゆえに見逃してほしいところだ…。

『おやつ』

Aはその3文字を呟くなり、ベランダから1階の居間へ向かった。