第百ト二十三話 ページ25
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坂本「A？」
動きを止めた私を不思議に思ったのか、坂本君は声をかけてくる。
坂本「何してんの？早くこっち来なよ、久しぶりなんだし…って言っても3日か」
ハハ、とまるで何も無かったかのように明るく笑いながら自分の元へ来るように促すのを見て、余計に胸が苦しくなった。
貴方「…ごめん、なさい。」
俯きながら震える声で謝ると、静寂が走った。
ピリピリとした空気が彼から漂ってくる。それが余計に罪悪感を煽る。
やはり、怒っているのだと。
坂本「………」
貴方「………」
彼からどんな言葉が飛んでくるのか、どんな怒りの声が響くのか、待っていた。
何を言われても仕方が無いだろう。
彼が二度も命の危機に陥った元の原因は自分なのだから。
私があの日学校に行かなければ、私が玄関へ出て行かなければ、彼はこんなことになってはいなかったのだ。
こんな自分は嫌われて当然だと思う。
坂本「………あのさ、」
ポツリと紡がれた言葉に、ビクリと体が反応する。
カタカタと立っている足が震える。
坂本「……俺の目、見て。」
そうハッキリと告げられた言葉に、恐る恐るゆっくりと顔を上げて、言われた通り彼と目を合わせる。
彼とはまだ距離が遠く、表情ははっきりとは分からない。
坂本「近くに、来て。」
これもまた言われた通りにゆっくりと一歩ずつ近付いて行く。
近づくたびに彼の表情が見えてくる。
だが、その表情は決して怒っているようなものでは無かった。
寧ろ、恐ろしく落ち着いていた。
そしてベッドのすぐ脇の、彼が手を伸ばせば届くような場所まで近付いた。
ジッ…と私の目を見つめるその瞳がユラリと揺れる。
その瞬間、手を取られ、強い力で引っ張られる。いきなりのことに私の体は力に任せて彼の胸の中に収められる。
ギュウウウッ…と苦しい程の力で抱き締められる。
彼は自身の頭を私の肩に埋めていた。
坂本「…俺が、怒ってると思った？」
そう抱き締められたまま言われた言葉に、素直に「うん」と頷いた。
坂本「…そんな訳無いだろ、
寧ろ……嬉しいんだ。Aも俺も、今、ここで、一緒に居ることが。」
貴方「……うん」
心底安心したように震えた声で言われたことに、私自身もそのことを深く、深く実感した。
じんわりと自分の中に温かい何かが広がった。
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ちょっこれーと - 最後の同級生の子と夢主ちゃんの告白シーン､可愛すぎやろ……( ^ω^ ) (2022年1月31日 0時) (
レス) id: 796db9a12e (このIDを非表示/違反報告)
あ - うわーオチも最高 (2021年2月8日 3時) (レス) id: 3de58ab355 (このIDを非表示/違反報告)
秋穂 - 怖かったけど感動しました...最後の付け足しがまた良い感じに怖い... (2019年3月26日 17時) (レス) id: 03b7d5bfd5 (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - 最高です！！面白かったです！！小説の書き方と物語などがうますぎて憧れます♪ (2019年2月22日 11時) (レス) id: c181c25be4 (このIDを非表示/違反報告)
麗 - 辛すぎる…!でもそこが面白かったです。改めて人の愛というのがどんなモノか学べました。ありがとうございます。 (2018年11月20日 6時) (レス) id: 9baab70cb8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：豆粒 | 作成日時：2014年5月22日 19時
