お兄ちゃん、おかしいよ…？[ヤンデレ]３

第百ト十八話 ページ20

一夜side



貴方「お兄ちゃんなんか……

…大っ嫌い！！！」





一夜「………？」






Aは、何を言ってるんだ…？





一夜「…A？」





本当に意味が分からなくて、尋ねてみた。





…俺の、聞き間違いだろう。




”大嫌い“




だなんて、絶対に言う筈が無いのだ。




一歩、Aに歩み寄った。そのAの表情は何かに怯える様な、今にも泣きそうな顔だった。






君を泣かせたのは誰？





他でも無い、そこに倒れている奴だろう？





俺たちの邪魔をしたこいつを消すのは当然の事だろう？





なのに、何故。






何故、こちらを見て怯えている？





“大嫌い”だなんて、







一夜「Aがそんなこと、言う筈無い。そうだよね、A？」







不安になって、うわずった情けのない声になってしまう。






頭の中で必死にそんな筈が無い、と言い聞かせている自分が居た。





貴方「……った」





彼女は小さな声で何かを言った。





…今までこんな動悸は感じたことが無い。





こんなこと、今までなら絶対に無かったのに。






続きを聞くのが、怖い…なんて。





どうか……どうか、






貴方「……言っ、た。

大嫌いって……言った」






自分の中で、何か、大切な物が、壊れた。





脚の力が抜け、フラリと体が揺れる。








一夜「…ッフ、アハ…ハハハハハハハハハハハハハハッ！！！」




笑いが止まらない。




何か理解し難いことがこの場で起こっている。







何故、何故こんなことになる。






誰だ、こんな状況を作り出した元凶は。






Aを黒く染めたのは。







俺と彼女の歯車を狂わせたのは。

第百ト十九話→←第百ト十七話

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す