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第百ト十二話 ページ14

一夜side



…この数日間Aの様子がどこかおかしい。




俺は大学へ出掛ける振りをして準備をし、玄関で靴を履く。





彼女はいつもの様に見送りをする。






……そんな作り笑いはすぐに分かるんだよ、A。





そして家を出て行き、きちんと施錠する。




いつもの流れだ。




道路を歩きながらスマホのロックを外し、操作をして、ある画面を開く。




その画面には家の中の風景が映る。




これは家に設置してあるカメラと通じている。





一夜「…?」





Aは何をしている?




キッチンへと向かい何かを探している。





それから十分程その行動を続けていた。




いつの間にか自分の足はピタリと止まりその画面に釘付けになっていた。





Aは、何を持っている…?



画面が小さく、見えづらい。



出来るだけアップにして目を凝らす。








首に、当てているものは、何だ。



…それは、包丁では無いのか。





一夜「A…!?」




自然と足は家の方向へ向かう。



何故包丁など持ち出すのだ。




何故首に当てているのだ。





そして家が見えるところまで帰って来て、目が眩んだ。





あり得ない、あってはならないものを見た。




念の為内側からも開けられない鍵を設置していたが彼女は開けようとしなかった。





だが、今自分が見ている光景は全くもって違うものだった。




玄関の扉は開けられ、彼女は居た。その彼女の目の前には人が一人。





早く、早く引き離さないと彼女が汚れてしまうのに足は地面に縫い付けられたようにピクリとも動かない。




何か全く別のモノを見ているような気がする。





じわりじわりと身体が黒く染まっていく様な、そんな錯覚。




ジッ…とその状況を見つめていると、その2人の人影が重なる。






…何故?




何故、そんなことをしているのだ。






フラ、フラとおぼつかない足取りで二人に近付いて行く。




近づく度にハッキリと姿が見えてくる。





…離さないと、離さないと。






俺の、Aが…侵食されていく。





足元をチラリと見て、丁度転がっていた大きめの石を拾い上げる。





それをしっかりと握って、もう一度二人へと視線を移す。




…それから、Aを汚した害虫目掛けて腕を振り下ろすまで、恐らく、俺は無心だっただろう。






その顔を、見るまでは。

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設定タグ:ヤンデレ , 兄妹   
作品ジャンル:恋愛, オリジナル作品
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ちょっこれーと - 最後の同級生の子と夢主ちゃんの告白シーン、可愛すぎやろ……( ^ω^ ) (2022年1月31日 0時) (レス) id: 796db9a12e (このIDを非表示/違反報告)
- うわーオチも最高 (2021年2月8日 3時) (レス) id: 3de58ab355 (このIDを非表示/違反報告)
秋穂 - 怖かったけど感動しました...最後の付け足しがまた良い感じに怖い... (2019年3月26日 17時) (レス) id: 03b7d5bfd5 (このIDを非表示/違反報告)
カレン(プロフ) - 最高です!!面白かったです!!小説の書き方と物語などがうますぎて憧れます♪ (2019年2月22日 11時) (レス) id: c181c25be4 (このIDを非表示/違反報告)
- 辛すぎる…!でもそこが面白かったです。改めて人の愛というのがどんなモノか学べました。ありがとうございます。 (2018年11月20日 6時) (レス) id: 9baab70cb8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:豆粒 | 作成日時:2014年5月22日 19時

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