イタズラ30 ページ36
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「よー黒尾」
そう言って部屋に入ってきたのは、同級生の夜玖。
その後ろには、バレー部の奴らがゾロゾロと列を成していた。
「お前らさ、俺の部屋ワンルームなの知ってるよね?
わかる?すっごい狭い」
「しょうがないでしょ」
と、研磨が一言。
「まぁ、それは置いておいて、な?」
「そうですね」
「「「「「ハッピーバースデー!黒尾!」」」」」
そう言ってクラッカーを鳴らした。
今日は俺の二十歳の誕生日。
そして、Aの誕生日だ。
「うっし!そろそろ行くかぁ」
「そうだな」
彼奴もちゃんと祝いたいし。
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「お待たせ、A」
『一年ぶりだね、黒尾』
高校三年の誕生日、彼奴の姿が見えたのは衝撃だった。
その次の年、一か八かで来てみたら、また、話すことが出来た。
どうやら、俺たち二人の誕生日だけ、お互いの姿を見て、話すことが出来るみたいなのだ。
しかも、彼奴は今もちょっかいをかけてくる。
でも、それがとてつもなくうれしい。
「もう薄くなってきた」
『えー!まだ全然足りないのになぁ』
「また来年、か」
『そうだね』
「花束、持ってくるから」
『うん。私が置いておいたやつ、わかった?』
「あー、部屋のテーブルの上のやつだろ?ありがとう」
『こちらこそ』
「じゃあ」
「『ばいばい』」
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少し離れた所に研磨たちがいた。
気を使ってくれたんだろう。
「話せた?」
「おう」
「そっか」
研磨のことも話してやればよかったな。
「来年も来るでしょ?」
「当たり前だろ」
来年、話すまで、覚えておくか。
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もちトロ - ちょ、ちょっと待って?!最高なんですけど?! (2022年5月2日 22時) (レス) @page37 id: 64d596bd65 (このIDを非表示/違反報告)
黒尾鉄朗 - すっごい面白かったです。 最初ギャグ系だったけど最後すごい感動しました。 (2018年3月12日 19時) (レス) id: 9e1453f71d (このIDを非表示/違反報告)
桜朱(プロフ) - 最高でした!こんなに感動した作品はこれが初めてです!凄く面白くて、感動しました! (2018年3月12日 19時) (レス) id: 6f7a2e4a1d (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨコ豆(プロフ) - みなさんからのコメント、とても励みになっています!なるべくはやく、完結できるよう頑張りますので、是非最後まで見届けください(*゚▽゚*) (2017年9月12日 23時) (レス) id: e39f7bb8cd (このIDを非表示/違反報告)
ねこま( ΦωΦ )ニャーッ(プロフ) - 感動して涙が溢れてしまいました…。とても心温まる作品で、いい作品だなぁ…と思いました。またこのような素敵な作品を作って頂けると幸いです。 (2017年9月3日 12時) (レス) id: dfa7e6f3d9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ヒヨコ豆。 | 作成日時:2017年3月10日 19時