【wrwrd!】机の下は異世界に【zm】 (ページ20)

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涙ページ20

チュンチュン…と、どこか元いた世界を思い出させる鳥の声で目を覚ます。
Aの部屋の隅には椅子に座りながら寝ているゾムがいた。

ああ、泣き疲れて寝てしまったのか。

あまりスッキリとしない頭でそう理解出来たのは瞼が重いせいだった。
元々そこまでぱっちりなどしていない目はさらにどんよりとしていた。

「起きなくちゃ、」
重たい体をなんとか起こし、静かにベッドから抜け出した。
このあとは報告書を作成して、トントンに提出なければならない。トントンの仕事を増やさぬよう、今日中に終わらせなければ。

古くなった木の床はどう頑張ってもギシリと嫌な音を立ててしまう。
ああ、これではゾムが起きてしまう。
仕方なくベッドに戻るが、やはり音に敏感なゾムは起きてしまったらしく、少し隈が見えるその顔で優しく声をかけた。
「おはよう、体調は大丈夫か？」

やはりまだ眠いのか、目を擦っている。

「おはよ、ゾム。大丈夫だよ。ありがとね」
上手く笑えているだろうか。

ゾムが起きてしまったなら仕方がないとまた動き始めたA
昨日受けた傷を庇いながら風呂へと向かう。

「おい、どこいくんだ」
「お風呂だよ。心配しないで、お風呂くらい1人で入れるよ」
ゾムは何か言いたげな様子だったが、Aはそれを無視し、着替えを持って脱衣所へ入ってしまった。

「いた…」
シャワーを浴びれば擦り傷に染み込んだ。
殴られた部分は動く度に皮膚や骨が悲鳴をあげ、背中に出来た大きな傷は声が漏れてしまう程に痛かった。
こんなところにこなければ、こんな痛みを味わうことなんてなかったのに。

そんな小さな後悔でまたわたしの涙腺は壊れてしまう。

痛みと後悔で涙はどんどん溢れ出す。
わたしの涙は頬に流れていくと共にシャワーの水と混じって、どれがわたしの涙なのかわからなくなっていく。

そう。これは涙なんかじゃない。シャワーの水が流れているだけ。

「ぅっ…うぅ、お、かあさん…」
もう随分顔を合わせてない母の声を思い出し泣いた。