【wrwrd!】机の下は異世界に【zm】 (ページ18)

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ふと我に返る。
わたしは人を殺してしまった、と。
自分が怖くなった。
前居た世界では殺人はご法度。即刻お縄だ。
殺人の許されるこの世界ではこんなこと日常茶飯事だ。慣れねば。慣れねばここでは生きていけない。
無理矢理そのことに慣れたはずのわたしの体だったが、今目の前で自分が起こした行動にわたしの脳は拒否反応を起こす。

気持ち悪い
余裕綽々、いや、わくわくとした気持ちで出発したことを後悔した。
あのときのわたしは大馬鹿者だったらしい。

やっとのことで動き出したわたしの体
死体に背を向けて走り出した。
ただひたすらに走った。我々国に向かって。
あそこに帰ればきっとみんなが待っていてくれるから。

我々国についたのはうっすら明るくなり始めた夜中。まだ鶏も鳴かない時刻だった。
出発のときに飛び出した窓の鍵は開いていた。
そこから中に入るとまるでわたしの帰りを待っていたのか、ゾムが待っていた。
「…おかえり」
「ゾム、ゾム…ゾム、わたし」
動揺しているわたしを見てゾムはすぐ察したらしく、
「おまえはなにも悪くない。
しかたないことやったんや。」
そういってわたしの体を引き寄せ、抱きしめてくれた。

「怖かったな。よう頑張った」
そう言ってわたしの頭を撫でるゾム
眼球がじわっと熱くなった。
頬を流れる温いそれは涙で、ゾムの緑色のパーカーに滲み込んだ。
「もう怖いのはおらへんで。大丈夫や」
その言葉でわたしの涙腺は簡単に解れた。

ああ、帰ってきた。

ゾムの温もりはわたしが生きているということを実感させてくれた。
泣き続けるわたしをゾムは何時間も抱き続けた。