169._ぽたぽた ページ23
「旅団がオークションを襲うのも、それで懸賞金がかけられてオレらが捕まえようとして捕まるのも、全部知ってて黙ってたのかよ」
キルアから向けられる怒り。…そのなかにある負の感情。弁明する前にキルアは畳み掛けるように続けた。
「…勝てないって分かってる相手に真面目に挑んでくオレたちはさぞ面白かっただろーな」
…心臓が嫌な音を立て始める。
「！ちょっとキルア、そんな言い方」
「っゴンだってそう思うだろ！！そうじゃなかったらなんで黙ってたんだよ！！」
痛い。
「これだけじゃない！闘技場の時だって明らかにヒソカと知り合いだったのに何も言ってくれなかった！…そりゃあオレはAにとってただの子供で言う必要なんてないだろーけどさっ」
……たい。
「Aにとってオレなんかどうでもいいんだろ！」
「キルア！！」
ゴンの声でキルアはびく、と体を揺らす。
…ゴンはみたこともないくらい怒っていた。その表情をみてはっとする。…オレ、今なにを。
Aを見る。
『……なさい、』
Aから悲痛な声が漏れる。
何かを耐えるように握られた手からぽたぽたと血が垂れていた。
…見覚えがある。
旅団に捕まってゴンがノブナガと腕相撲をさせられていたとき。Aはゴンとオレを見て拳を握っていた。…Aはあの時オレたち側だった。……Aがオレを何とも思ってないなんてそんなはずなかった。
どんな時もAはオレの味方だった。欲しいものはなんでも買ってきてくれたし、外の話もしてくれた。兄貴たちについても……。Aがオレを否定したことは一度もない。
…だから悔しかっただけ。Aは何も悪くない。オレがただ…嫉妬しただけ。
『…ごめん。ごめんなさい…』
「！！A」
Aは崩れるように膝を床につく。右手で心臓を掴むように服の上から握りしめられる。息はあがり、泣いていないのに泣いているように見えた。
こんなAは、はじめてだった。オレが…そうさせた。
「キルア」
Aに駆け寄ったゴンがキルアを見る。…キルアは自分がしてしまったこと、自分がしなければならないことは分かっていた。
「悪い…言いすぎた」
『……ううん。キルアは悪くないよ。だって全部が嘘じゃないでしょう』
「っ…ちが」
『いいの。大丈夫。大丈夫だから』
大丈夫。そう繰り返すAは少しも大丈夫には見えない。だが、キルアは否定する言葉が見つからなかった。…確かに全てが嘘ではなかったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 118人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
JRPG(プロフ) - コメントありがとうございます。とてつもなく間が空いた気がするのは気のせいではありませんでした。ただ凍結することはないので連載再開までに終わるかどうかですね。 (2021年10月16日 20時) (
レス) id: 1f8a9e8183 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 更新待ってます (2021年10月4日 0時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
うさぎ - 好きです！！ (2021年8月12日 1時) (レス) id: 87c9802a04 (このIDを非表示/違反報告)
かるー(プロフ) - 大好きです、、、、！ (2021年7月26日 13時) (レス) id: 23539fd70e (このIDを非表示/違反報告)
めありー(プロフ) - コメント失礼します。ずっと前から大大大大大好きです！！！！応援してます！！先の展開が楽しみで仕方ありません！！ (2021年6月15日 23時) (レス) id: 3db33b5493 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：JRPG
| 作成日時：2021年6月12日 19時
