参拾七 ページ37
「Aさん!!」
呼ばれて振り替える。少年だった。
『わざわざ追ってきたの』
「それは、だって…」
少年はいいずらそうな顔をする。
…私は止めた足を再開させる。すると少年は私の真横に並んだ。意地でも一人にはさせてくれないらしい。
「あのカラスは?」
『彼には見回らせている』
いいながら空を指した。…時代は変わっても世界は変わっても空は変わらない。そのことが少し気持ち悪くて、直ぐに指を下ろす。
「、そうなんだ!……どこに向かってるの?」
『君の家』
「………え?」
少年が驚いたように私を見上げる。…その影はどこか嬉しそうだった。
『蘭さんに謝らないといけないから』
「、蘭姉ちゃんに?」
『ああ。着物を汚してしまった』
血は落ちづらい。そのことはよく知っている。
『…そういえば、私の隊服はどうなったの?』
着物で思い出したため聞いてみる。
「あ、それならもう洗濯し終わってるよ」
『そう。なら、君の家でそれも貰いたい。……あの隊服はただの服ではないんだ。特殊な素材で作られている。そこら辺の刃物では傷ひとつつかない』
「!………そんなに凄いものだったんだ」
少年は驚いたように目を見開く。……これからどんな戦いになるか分からない以上、防御は高めた方がいい。
私は奴等と違って治りが遅いのだから。
「やぁ、コナンくん」
少年の家へと向かっている途中、そんな声がかかる。少年が呼ばれたことからして、知り合いか。
「こんにちは!安室さん!」
やはり知り合いらしい。少年は人懐っこそうに元気よく返事をした。…私は"安室"と呼ばれた人物を見る。正確には"影"を。
………。
「…え、Aさん?」
私はその男性に近づいていく少年の手首を掴み、止める。
「……どうしたの?」
『………その男は少年の知り合い?』
「う、うん。安室透さんだよ。ここ、ポアロっていう喫茶店で働いてる」
『喫茶……ああ、都会にある茶屋か』
…店員、にしてはあまり穏やかではないな。この男の影は。
私は目を潜める。
「コナンくん、この女性は?」
「Aさんだよ。AAさん。ちょっと……色々あって、新一兄ちゃんのところに住んでるんだ」
「へぇ、色々…それも新一くんの家に…ね」
男は人の良さそうな笑みを一瞬解き、探るような視線をこちらに向ける。……これはこちらの心を読もうとしている目だ。私を上から下まで眺め、腰に納めている刀へと注がれる。
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ゆら - とても続きが気になる物語だったので、時間があるときに更新よろしくお願いします。頑張ってください! (2020年6月21日 12時) (レス) id: a43add877a (このIDを非表示/違反報告)
ユナナ(プロフ) - こんにちは!"浮世離れの今日"を見させていただきました!好きな漫画がコラボで出てきている…もう喜びを超えた嬉しさです笑 後の展開がとても気になります!技の名前も高クオリティで普通に鬼滅の刃にで出来そうです笑 また続きをお待ちしています笑 (2020年1月8日 11時) (レス) id: 0bea8b4a9d (このIDを非表示/違反報告)
JRPG(プロフ) - 作者です。更新しました。楽しみにしてくださっていた方遅くなりすみません…。沢山のコメントありがとうございます。全部読んでます。引き続きお楽しみ頂けたら幸いです。 (2019年10月31日 9時) (レス) id: 0e0a111648 (このIDを非表示/違反報告)
綺咲裕翔 - めちゃくちゃ面白いです!!続きが気になるー!楽しみにしてます!頑張ってください! (2019年10月27日 10時) (レス) id: 93b6603b06 (このIDを非表示/違反報告)
南無阿弥陀仏(プロフ) - 続き待ってます (2019年10月24日 14時) (レス) id: 1cf60bec73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Justice RPG | 作成日時:2018年9月15日 21時