参 ページ14
『……もしかしてトントン、寂しいの?』
トントンの肩がピクリと震え、苦笑いが崩れる。
ト「……せやなぁ。もしかしたら、寂しいのかもしれへん」
「この時代に俺の仲間は居らへんし、まず認識すらされへんからな」と、トントンは続ける。
『浮遊霊の中にはね。トントンみたいに、寂しいっていう感情を抱き続けて浮遊霊から、悪霊になるケースもあるの。
……だから、あんまり落ち込まないでね。もしかしたら、ほら!まだ同じように未練をもって成仏できていない、トントンの仲間だっているかもしれないし!』
ト「はは、優しいなぁAちゃんは」
眉を下げてそう笑うトントンは、だいぶ参ってきているようだった。
……早く、トントンを成仏させてあげないと。
トントンは何十年もこの世にさ迷い続けているんだ。
もういつ悪霊に変わっても、おかしくはな__
ト「……でモ、Aちゃンガおったら、寂しくナくなるかもしレヘんわ」
突然、トントンの声に不気味な声が混ざる。
『ッ!?』
ゾッと鳥肌が走り、急いでベンチから立ち上がり距離をとる。
先程まで隣にいたトントンは、右手の指先から黒色に浸食されていた。
『トントン、それ……!!』
仄かに鼻につく、影と同じ甘い臭い。
ト「……すマん、隠しテて……もしバレタら、もう、Aチゃんとモ会エなくナると思っタンや」
隠してた?
つまりトントンは今日からじゃなくて、ずっと前から悪霊になりかけていたってこと?
それを間近にいて気づかなかったなんて、巫女失格じゃない私……!!
『トントン、もう少しだけ待って!!黄魄神社に行って浄化すれば、まだ間に合うからッ!!』
ト「もウ、無理やわ。ドうせこの先モいクラ待っトッても、仲間は来ォへん……。ソレニに、Aちャンがオれば、寂シク、ナい」
トントンはこちらに黒く浸食された右腕を突きだす。
すると私の足元は真っ黒に染まり、その中からいくつもの影が伸び、私の足に絡まりついた。
『トントン……ッ!!』
259人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シリウス(プロフ) - フェノさん» コメントありがとうございます!そう言っていただける作品を書ききることができ、嬉しいです!ここまで本当にありがとうございました! (2019年10月12日 17時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
フェノ(プロフ) - 完結おめでとうございます!そしてお疲れ様でした!とても面白くて、毎回の更新が待ち遠しくなるほど大好きでした!!番外編も、無理しない程度にがんばってください!!これからも応援してます! (2019年10月9日 22時) (レス) id: dddb82ec89 (このIDを非表示/違反報告)
シリウス(プロフ) - 鈴蓮さん» コメントありがとうございます!ここまで本当にありがとうございました……!! (2019年10月9日 16時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - 完結おめでとうございます……! (2019年10月9日 7時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
シリウス(プロフ) - 千12さん» プロ結果!!((殴 すみません調子乗りました← コメントありがとうございます!更新頑張ります! (2019年9月28日 17時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ