肆 ページ15
ト「すマンなァ、Aチャん」
トントンはベンチから立ち上がると、ゆっくりこちらに歩いてくる。
その右腕は既に真っ黒に染まりきり、今度は肩を伝って全身へと浸食していく。
『お願い待って！トントンッ！！』
ト「ホンマに、すまンわ。あトで、いくラデも謝ル。
……だカラ、今ダけハ、一緒にオッテや」
優しい手つきで、目の前まで歩み寄ってきたトントンさんに抱き締められる。
『やだ！！離して！！トント……ッ！！
……えっ？』
背中に回された腕から、影が私に浸食してくるような感覚はない。
それどころか、体温なんてとっくの昔に失っているはずなのに、暖かい。
ぽかぽかしてて、なんだか、眠く……
『……ッ』
トントンside
腕の中でジタバタと暴れていた小さな体が大人しくなり、やがて俺にもたれ掛かるように倒れる。
その体を左手で支え、右手で何処からか現れた戦争で使っていた剣を強く握り締めた。
ト「く、ッソ……ッ！！」
俺はその剣をAの足にまとわりつく影に振るう。
そして、右腕が彼女に触れることのないよう慎重にベンチへと運ぶ。
Aをベンチに寝かせると、俺は右腕の激しい痛みでその場に崩れ落ちた。
ト「グッ……！！」
……まだや。
ここから、離れんと……悪霊になったとき、Aちゃんを襲ってしまう。
早く、ここから……
力を振り絞って立ち上がろうとするが、再び地に膝をつく。
……こんなときだけ、人間らしい痛覚が戻ってくる。
死んでから、人間らしい感覚も無くなったとばかり思っていたのに。
ト「せ、メテ……」
先程Aを影を使って引きずり込もうとしていたときは、自我を失っていた。
今俺にできることは、這ってでも、僅かにでもAから離れ、正気を保つこと。
ト「Aを……、こッチに連レテくルわけ二はあかン……ッ！！」
シ「＿＿合格や、トントン」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 258人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
シリウス(プロフ) - フェノさん» コメントありがとうございます！そう言っていただける作品を書ききることができ、嬉しいです！ここまで本当にありがとうございました！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
フェノ(プロフ) - 完結おめでとうございます！そしてお疲れ様でした！とても面白くて、毎回の更新が待ち遠しくなるほど大好きでした！！番外編も、無理しない程度にがんばってください！！これからも応援してます！ (2019年10月9日 22時) (レス) id: dddb82ec89 (このIDを非表示/違反報告)
シリウス(プロフ) - 鈴蓮さん» コメントありがとうございます！ここまで本当にありがとうございました……！！ (2019年10月9日 16時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - 完結おめでとうございます……！ (2019年10月9日 7時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
シリウス(プロフ) - 千12さん» プロ結果！！((殴 すみません調子乗りました← コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年9月28日 17時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
