弐 ページ2
パァンッ
『やった……！』
シ「なかなか上達しとるやん！」
私の放った矢は影の中心を射貫き、奇声をあげて影は辺りに分散する。
着物の彼は私の方に顔を向けて微笑むと、再び影と向き合った。
みるみるうちに彼の肌に鱗のようなものが浮かび上がっていく。
青年の立っていた場所に現れた、白銀の鱗を纏う大きな龍。
青年の姿と唯一変わらない黄金色の瞳に睨まれ、影の動きが固まる。
シ「はよ失せろや」
長い尾を靡かせ、白銀の龍は大きく口を開けた。
『よ……っと』
御神木から降りて、青年の姿に戻ったシャオロンに駆け寄る。
『シャオちゃん！見た？一発で中心射てたよ！』
シ「日々の練習の成果が出たな！」
シャオロンとハイタッチを決め、パンッと気持ちのよい音が響く。
シ「後はまぁ、この敷地の外でも影を倒せる力があれば完璧やな！」
『それは言わないでよぉ……』
私の家系が代々継いできた此処、黄魄神社。
そしてこの神社に祀られている龍神様が、今目の前で青年の姿をしている彼。
昔から雨宮家の継承者となる人間は、龍神様と共に影を倒すという使命がある。
その継承者として去年巫女に選ばれたのが、現在雨宮家で一人娘の私なのだが……
生憎、神様は私に巫女としての才能はくださらなかったようだ。
影を倒すどころか、生まれつきの影を引き寄せてしまう体質。
その上自力で影を払う力はなく、私はこの神社の霊力を使って影を倒すことがやっとなのだ。
つまり神社から一歩でも出てしまえば、影を引き寄せてしまうただの人間。
両親や龍神様に見放されたりなどはしなかったが、祖父母達から呼ばれるあだ名は「劣等巫女」。
雨宮家初めての、最低最悪の継承者らしい。
『……私だって、好きでこんなのやってるわけじゃないし』
ふと、視界一面が苅安色に染まる。
シ「お疲れさん。Aがよぉ頑張っとるの、俺は知っとるで？」
『……うん』
優しく抱き寄せられ、頭をわしゃわしゃと撫でられた。
シ「……それより俺のことも見てた？あの影すっごい不味かったけど、残さず最後まで食ったんやで！俺偉ない！？」
『うん。シャオちゃんもお粗末さま』
本来神様のことを撫でるなんて罰当たりなことは出来ないのだが、シャオロンはそれを要求するように頬を擦り寄せてくる。
そんなことをされたら、私も無視することが出来ないわけで。
私より背の高い彼の頭を撫でれば、彼は満足そうに頬を緩めた。
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シリウス(プロフ) - フェノさん» コメントありがとうございます！そう言っていただける作品を書ききることができ、嬉しいです！ここまで本当にありがとうございました！ (2019年10月12日 17時) (
レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
フェノ(プロフ) - 完結おめでとうございます！そしてお疲れ様でした！とても面白くて、毎回の更新が待ち遠しくなるほど大好きでした！！番外編も、無理しない程度にがんばってください！！これからも応援してます！ (2019年10月9日 22時) (レス) id: dddb82ec89 (このIDを非表示/違反報告)
シリウス(プロフ) - 鈴蓮さん» コメントありがとうございます！ここまで本当にありがとうございました……！！ (2019年10月9日 16時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - 完結おめでとうございます……！ (2019年10月9日 7時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
シリウス(プロフ) - 千12さん» プロ結果！！((殴 すみません調子乗りました← コメントありがとうございます！更新頑張ります！ (2019年9月28日 17時) (レス) id: 6232b3f710 (このIDを非表示/違反報告)
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