検索窓
今日:11 hit、昨日:14 hit、合計:251,802 hit

□299□ ページ29

■side 忠義■





中庭の大食堂には
外の光がまぶしいくらいに飛び交う


いつものように8人席を占領して
わいわいがやがやうるさい俺たち




大「は!?ナニコレめっちゃ美味ない?」


丸「美味いなぁ〜。新メニュー、バジル揚げ鶏とメガ・ハイパーウルトラチーズのスパイシーカレー」


渋「きのこ。きのこ。これもきのこ」


恵「ちょ、あたしもこんなマッシュルームばっか要らないんですけど」


錦「・・・・・」


安「りょー。いっきに掻き込み過ぎやで?・・・Aももぐもぐやなあ、おいしい?」


「うん、おいしい!」




幸せそうな顔するねんなあ、ほんま


となりに座るかわいい片割れを見て
改めて思った。



誕生日が1日違いやった、ってだけの理由で
両親の都合よく情報操作されてた俺たちやけど
でもべつにもう、そんなんはええねん



俺は、俺らは、
此処にある『今』が大好きや





大「平和やな〜」


「そだね〜」


恵「あんたら、まったく同じ顔してるんだけど(笑)」


渋「アホそうな兄妹やな」





どんな真実よりたしかな事実が
過去も今も未来もいとおしく思わせてくれた
そんな冬の日のあの灯火は消えへんまま


たとえば角砂糖をひとつひとつ噛み砕くように


日常のひとつひとつを
また幸せやと感じることができるようになって


そうしてやっと、


俺らは大人になれたんとちゃうかな?


一人ぼっちでもがき続けた子どもの自分を脱して
ほんまの意味で、大人に






女「大倉先輩って王子辞めたみたいだよ」


女「え!そうなの?確かに最近浮いた話は聞かなくなったけど・・・」


女「なんか、無責任だよね〜。ついこの前まであんなに女の子たちをたぶらかしてたのに。可哀想」


女「ね。思ってたより冷たい人だよね」




・・・ふいに聞こえてきた会話に、
いち早く反応を示したのは亮ちゃんで


彼は口いっぱいに入れたカレーを吞み下すと
わざとらしく舌打ちを響かせて
どこの輩かと思うほどの形相で睨む


こわっ


すぐそばで「ヒッ」と息を呑む女の子の声がして
それからはもう噂話がきこえてくることはなかった


・・・うん、いや分かるよ、怖いもんな




「? 亮くんどしたの?」


錦「いや?なんもないで」




亮ちゃんはAを見るとくしゃっと破顔して(ほぼ小犬や)、ぐっちゃぐちゃのカレーを更にぐっちゃぐちゃに混ぜて機嫌が良さげ



俺は思わず



ちょっと泣きそうになった



この居場所があんまりやさしいから

□300□→←□298□



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (389 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3189人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

aaaa(プロフ) - 素敵なお話でした。。安田くんの最後の番外編がなんだかんだ一番心に来たかもしれません(笑)最後の事故の共鳴とか、最後に錦戸くんが気づいたところとかwでもそれに勝る大倉くんのプロポーズ代わりの言葉は最高のハッピーエンドだと思いました!完結お疲れ様でした! (2020年9月26日 23時) (レス) id: 37531683ef (このIDを非表示/違反報告)
りな - 長い間、楽しいお話をありがとうございました!!私の中で日々の楽しみとなっていました !てっきり章ちゃんは亮くんが好きなんだと思ってましたがより切ない展開でしたね…。みんな幸せになってよかったです!お疲れ様でした (2019年6月1日 17時) (レス) id: 94b1ad2688 (このIDを非表示/違反報告)
くるみるく - 予想もしていなかった結果すぎてただただ感動してます(;_;)3年間ずっと楽しみにしていて、ここまで夢中になれた作品は初めてでした!本当に伏線とか結末とかが凄すぎて凄いという言葉しか出てこない自分が情けないです。゚(゚´ω`゚)゚。 (2019年5月26日 6時) (レス) id: 27ccdcf918 (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ(プロフ) - 夢中で読んでしまいました。まさかの展開に本当にもう1度読み返したいと思う作品で本当に楽しかったです。 (2019年4月30日 10時) (レス) id: 5ac0d2c424 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 今全部読み終わりました!あとがきを見てまた最初から読みたいと思ったので読み返したいと思います! (2019年3月30日 10時) (レス) id: aeb6f4aca7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:べに | 作成日時:2019年2月14日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。