▽スプリッツァー ページ6
. 大倉 side
映画の宣伝が続いてて、あちこちの遠征。
地方からこっちに戻って来る時の一番の楽しみ。
あのBARに行けること。
新幹線を降りて、駅でタクシーをとっ捕まえて
直ぐにあの店へと出発した。
車中、頭の中はAさんとカクテルの事でいっぱい。
Aさんはほんまに綺麗な人で、
それでいて明るくて、もう欠点なんて無い人。
「あ、この辺でいいです。ありがとうございます。」
前に、タクシーを横付けした横山くんが
めちゃくちゃ怒られたっていう話を聞いたことがあった。
怒ってても可愛いんやろうけど、さすがに怖いからな。
黒く塗装された重い扉を開けると、
ふわーんっと鼻を通るダシの香り。
「Aさーん、こんばんは〜。」
「その声は、忠義さん？」
「正解。もしかして、おでん作ったん？」
カウンターの奥にあるという、キッチンから
相変わらずキレイなAさんが現れる。
手には美味しそうなおでんを持って。
「ずいぶん久しぶりな気がする。忙しかったの？」
「映画の宣伝とかでな〜、地方とかも行ったり。」
おでんを出すと、ビールでいい？と
生ビールを入れてくれた。
大根を一口、口の中でホロホロ溶けて、ダシの味が広がる。
「Aさん、おでんめっちゃ美味い。」
「ふふ、良かった。忠義さん、美味しそうに食べてくれるから好きだなあ。」
好きだ、なんてサラッと言えてしまう。
アホな俺はそれだけでもドキドキしてるのに、
Aさんは至って普通。むしろ、落ち着いてる。
Aさんが喜ぶなら、なんぼでも食べたくなる。
おかわり、って皿を渡すと嬉しそうにキッチンに入る。
__ ｷｨｨ ...
Aさんが中に戻ってる間に、重い扉が開く音。
振り向くと、なぜか花束を持ってる亮ちゃん。
「おお、大倉！あれ、Aちゃんは？」
「その声は亮さん？」
「あっ、Aちゃん！やっほー。」
多分もう酒入ってるな。
結構酔ってる亮ちゃんは、黄色のバラの花束を
Aさんに渡してから、椅子に座った。
「ありがと、すっごい綺麗！でもどうして花束？」
「そのバラ見て、俺の事思い出して欲しいなーって。俺のメンバーカラー黄色やん？」
「亮ちゃん、そんなロマンチストやったっけ。」
うるさいねん、って一蹴される。
お酒の力ってすごいな。
Aさんは嬉しそうに、お花を飾ってから
俺らにカクテルを作ってくれた。
.
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くらり(プロフ) - j-oiku*さん» 初めまして、いつもありがとうございます。こちらは更新頻度が低いですが、ちょくちょく更新しようと思ってますのでぜひ長い目で見てやってください(笑) 今後もよろしくお願いします (2016年12月23日 1時) (
レス) id: 72063521c3 (このIDを非表示/違反報告)
j-oiku*(プロフ) - 初めまして。くらりさんの作品、いつも読ましてもらってます。このお話も含めて全部面白い！私好みです！これからも応援しています更新頑張ってください。 (2016年12月21日 20時) (レス) id: 057b3be6c4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：くらり | 作成日時：2016年7月31日 15時
