知らぬが仏（Ｓ） ページ17
．Sho Side
『櫻井さん。昨日の夜、会社の裏で橋本さんと居ました？』
会議室へ向かう途中、突然、後輩から橋本の話をされて
あまり話したことのない相手だったけれど、
思わず肩を掴んでしまった。
「いや、俺、じゃない。」
『あの、櫻井さん...』
「ああ、ごめんごめん。」
掴んでいた手を離し、その後は、
橋本のことしか考えられなかった。
いったい誰と？どうしてわざわざ、会社の裏で？
考えても考えても、答えなんか出るはずが無い。
それなら、本人に聞いてみればいいんじゃないか？
...いや、そんなこと俺に出来るか？
もし、橋本が認めたら？俺は、正気で居られるのか？
『櫻井くん。櫻井くん！』
「あ、はい！すみません、常務。」
会議が終わったら、あいつの所に行こう。
今は、仕事に集中しないと。
「＿以上です。今月はこれでよろしいでしょうか？」
『ああ、いいんじゃないか？頼んだよ、櫻井くん。』
ゾロゾロと会議室から上司が出て行き、
申し訳ないけど、後輩に会議室の片付けを頼んで
俺はエレベーターに駆け込んだ。
確かめよう。俺は橋本を信じてる。
俺は、あいつの真っ直ぐな所に惹かれたんだから。
「すみません、錦戸、居ますか？」
『錦戸くーん！櫻井さんがお呼びよ！』
「はーい。どうしたんすか、櫻井さん？」
開発部ではなく、宣伝部に訪れた俺は、弱いんだろう。
本人にじゃなくて、怪しい人物に聞くなんて。
「錦戸くんさ、昨日何してた？」
「え。なんすか、それ？」
「いいから。答えて？」
「えーと、昨日は友達と呑みに行ってましたかね。」
「ありがとう。それだけだから。」
何でなんだ、こいつの笑顔がムカつくのは。
ニヤニヤと俺を嘗めたような目で見つめるその顔が
真実を物語っているのかもしれない。
橋本は、昨日の夜、錦戸と居た...？
「ちょっとごめんね、橋本居る？」
疑問は、早いうちに解消しておきたいタチだった。
答え合わせはすぐにしたい性分だ。
＿＿＿
「友達とちょっとだけ飲みに行ったけど、すぐに帰ったよ？」
ああ、やっぱり聞かなきゃ良かった。
疑問が、確信に変わり始めそうだ。
錦戸と橋本は、昨日の夜、一緒に呑んでいた。
何が目的かはわからないけど、
俺には、そんなことどうでもいい。
ただただ、頭が痛い。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 625人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にな - 最後の方で感動して泣けました。笑える部分もあって面白かったです。 (2018年5月5日 22時) (
レス) id: d79385b6b6 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - ハハハ、まさかの展開！超面白い。ε=ε=(ノ≧∇≦）ノ (2017年8月16日 7時) (レス) id: 5ae3e13203 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - ああ、ズルい奴。 (2017年8月4日 20時) (レス) id: 5ae3e13203 (このIDを非表示/違反報告)
kiyomi(プロフ) - 頭殴られてどうなるかと思った(;つД｀)翔くん、身を引いちゃうのかな？ (2017年7月31日 0時) (レス) id: fa58efe3c1 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - うわあ〜、うわあ〜… この錦戸さん、あたしが一番苦手な人種だ！(泣) (2017年7月7日 21時) (レス) id: 5ae3e13203 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：くらり | 作成日時：2017年6月3日 23時
