私立文スト学園【 短編集】

物理：中原中也 ページ5

放課後、補習中……

A「先生ー、解けたよー」

中原「良し、見せてみろ」

　私は答えを書いたノートを先生に渡す

中原「正解、正解……あーまたここで間違えてるぞ」

A「え……本当だ……」

　この問題、難しいんだよね……

中原「でも、あとはこの問題だけだし、惜しいところまで行ってるから、もうひと踏ん張りだな」

A「てことは、使う公式はこれで合ってるってこと？」

中原「まあ、合ってはいるが、この手の問題は……」

　先刻まで私と向かい合う形で座っていた先生は、私の横に回って、ノートに図解を書き込む

中原「良し、こうすれば判るか？」

A「んー
　 じゃあ、こう？」

　私は導き出した答えを先生に見せた

中原「良し、正解だ」

　中原先生は答えに丸を付け、続けてノート全体に大きく花丸を書いた
　実は、この花丸が個人的にお気に入りだったりする……

中原「良く頑張ったな」

　そう云って、先生は私の頭を撫でてくれた

中原「時間も時間だし、今日はこれでしまいだな。帰り支度しろ。校門まで送ってってやる」

A「はーい」

　先生の云う通り、帰り支度をして、校門まで送ってもらった

A「先生、今日は有難う。さようなら」

中原「おう、テスト頑張れよ。
　 あ、そうだ。俺がノートに書いた花丸、絶対に他の生徒には見せるなよ？」

A「え、何で？」

中原「っ……
　 いいからっ、誰にも見せるなっ。いいな？」

A「？ はーい」

　家に帰って、ノートを開き、先生に書いてもらった花丸を見る

A(何で見せちゃいけないんだろう？)



中原(俺が花丸を書いてやるのはお前だけだからな///)

養護教諭：森鴎外→←林間学校・引率：織田作之助

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