検索窓
今日:5 hit、昨日:1 hit、合計:97,005 hit

3.F ページ3

かちゃり、


渉がテーブルに並ぶ焼き鳥に手を付ける。
止まっていた動きが再開する。
それを見て、俺も余ったお酒に手を伸ばす。


Y「…やっぱり恋煩いじゃん。」


F「まぁ、恋煩いって言う気持ちのレベルではないよね。」


黙々と俯いたまま食べ進める渉に、負けじと俺も口腔内に残り物を放り込む。
それから持っていたお箸を静かに下ろす渉。


Y「太輔は、どうしたいの?」


ひとつ声音のトーンを落として言う渉にふと視線をあげる。
こうやって渉となら簡単にかち合うのに。


絶対に絡み合うことないアイツとの視線。
それ以上近付くことのない距離。
もういっそのこと北山の心ごと俺のモノにしてしまえばこんな思いもすることないんだろうか。


(だったら…俺は…、)


F「…おれは、北山の全部が欲しいかも。」


細っこい渉の瞳がこれでもかってくらい丸くなる。
それから意地悪く微笑む唇。


Y「…それはまた欲張りな(笑)」


F「だってもうそれしかなくない?」


おれをみない北山を、
俺から離れてしまった北山を、


繫ぎ止めるには全部丸ごと俺のモノにするしか…手に入らない。
アイツの心も。身体も。


Y「いいんじゃないの?」


F「…え?」


みつはモノじゃない!
絶対そう言うと思ったのに…。
ヘラッと笑って簡単に同意してしまった渉にちょっと面食らう。


Y「太輔が決めたことに俺が口出ししても太輔が考えを簡単に変えるとも思わないから。」


F「…怒るかと思った…。」


Y「何で?(笑)好きになったらさ、相手の全部欲しいって思っちゃうの自然なことなんじゃないの?」


少なくとも俺はそうだけど。
最後にそう付け加えてまたニコニコと微笑んでくる。


F「渉って意外と野心的(笑)」


Y「オトコはみんなそうでしょ(笑)」


F「…相手がオトコでも?」


Y「…それはちょっと未知数(笑)」


渉との会話で幾分か沈んだ気持ちが軽くなる。
あれだけチクチクと突き刺す痛みは静けさを増して、変わりに小さくトクンと胸が弾む。


自然とこぼれ落ちる微笑みに一時の幸せを噛みしめる。
自分の「好き」って気持ちを受け入れた瞬間、こんなにも明るい世界が広がっている。


その先にあるものを掴めるか。俺次第だ。
膝に乗せた手のひらをギュッと握りしめる。


絶対キミを離さない。
…誰にも渡さない。


(…キミしか…いらない。)

4.F→←2.F



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (195 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
470人がお気に入り
設定タグ:Kis-My-Ft2 , キスマイ , 藤北
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちぇり子 | 作成日時:2017年4月24日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。